男「岩をかくしていたうずが、消えたんだってな。 これで、また、いろんなところへ行けるぞ」 男「ちょっと前まで、このまちにきよまさっていう、 すごいけんしがいたんだけどさ。どっか行っちゃったみたいだぜ。 ざんねんだったな、おい」 子ども「南のいおりに、おばけみたいな人がいたよ。こわかったあ」 子ども「なにかよう?ようがないんなら、はしるじゃましないでよ!」 男「あわあわ、あわあわ……」 女「なんだ、びゃくだんこうを持ってないの……じゃあ、いいわ」 女「あら、あなた………びゃくだんこうを持っているわね?」 北斗丸「あ、はい」 女「一つ、わけてもらえないかしら?あの、はしってる男の人を、とめてあげたいの」 頼遠「そうだな、あのままでは………北斗丸、びゃくだんこうをこの人にあげよう」 あげますか? 北斗丸「でも、やっぱり……ごめんなさい」 女「そう、ざんねんだわ。それにしても、そっちの人……やさしいのね」 頼遠「いや、そんな……」 女「気がかわったら来てね。待ってるわ」 北斗丸「はい、どうぞ」 北斗丸は、びゃくだんこうをわたした! 女「ありがとう!」 女「これでよし、と。よかったわね、あの人たちのおかげよ」 男「う、うわあっ!お……お助けえっ!!」 女「んまっ、なんてやつ!おれいも、いわないなんて。 やっぱり、ずっとこんらんさせとけばよかったかしら」 北斗丸「えっ……あなたは、一体?」 女「あら、まだ名のってなかったわね」 きっしょう「わたしは、きっしょう。 このびぼうで、男をまどわすつみな女神……… さっきの男、わたしにつきまとってうるさかったの。だから、術をかけてやったのよ」 北斗丸「まさか、きっしょうさまだったなんて……」 きっしょう「そこの人、さっきはやさしくしてくれて、ありがとう。 あなたって、いい人なのね」 頼遠「えっ」 きっしょう「わたし、受けた恩はわすれないわ。 あなたたちの、旅の手助けをしてあげましょう。 とくに、その人のこと、気に入っちゃったし」 頼遠「え……えっ?オレですか?」 きっしょう「ウフフ………仲よくしましょうね」 頼遠は『きっしょう』をおろせるようになった! きよまさ「せっしゃは、このくにでいちばんつよいさむらいじゃ。 だが、もっともっとしゅぎょうがしたい。 『せんきんたん』をやるから仲間にしてくれんか?」 仲間にしますか? きよまさ「むむ、むねんじゃ……」 きよまさ「よろしくたのむ」 きよまさが仲間になった! きよまさ「せっしゃを仲間にしたくばもうすこし仲間をへらしてくだされ」 きよまさ「せっしゃを仲間からはずすとは…… しょせんおぬしたちは、どうぐが、ほしいだけだったのだな。 せっしゃの前に、二度とすがたをあらわすな!」 きよまさ「ぬうう……せっしゃのちゅうこくをむししたな!ゆるさん!! 北斗丸!勝負だ!!」 きよまさ「むむ……むねんだ……」 女「村の近くに、つかがあるの。 ヘビ妖怪の、じゃござえもんを封印したつかよ」 女「じゃござえもんづかに、妖怪が出なくなったって本当かしら」 女「じゃござえもんづかには、気をつけてね。 夜になると、あのあたりには妖怪が出るんですって」 女「じゃござえもんづかに、妖怪が出なくなったって本当かしら」 男「じゃござえもんづかの妖怪は、夜になると人間をおそって食っちまうらしい」 男「じゃござえもんづかのそばに、ふしぎな岩があるらしいよ。 どこからか、転がってきたのかな」 頼遠「北斗丸、この村で夜まで待って、じゃござえもんづかを見に行くか?」 じゃござえもんづかに行ってみますか? 北斗丸「う−ん………いいや、やめておこう」 北斗丸「行ってみよう。人食い妖怪が出るなら放ってはおけないぞ」 頼遠「もう、すっかり夜だな。そろそろ妖怪も、うごき出すころだろう」 北斗丸「じゃあ、行こう」 じゃごばばあ「今夜のえものが、やってきたようだねえ」 北斗丸「だれだ!どこにいる!?」 じゃごばばあ「ここじゃよ」 じゃごばばあ「わが名は、じゃごばばあ。このつかに封じられたおっと、 じゃござえもんを生き返らせるためいけにえがひつようなのじゃ。 おまえらの命を、もらうぞ!」 じゃごばばあが、おそってきた! じゃごばばあ「チクショウ………あと少しで、じゃござえもんが生き返ったのに………」 北斗丸「これで、平和になるね」 阿古耶「見て。この岩、つかによりそってるみたい」 北斗丸「本当だ。この岩、じゃごばばあなのかな」 頼遠「さあ、帰ってやすもうか」 北斗丸「うん」 |