頼遠「なんてことだ。見わたすかぎり、まっしろだぞ。 人家もなにも、見えやしない」 北斗丸「このままじゃ、行きだおれになってしまうよ」 阿古耶「も、もうダメェ。つかれて、ねむくなってきちゃった………」 法輪「これ、ねむっちゃいかんぞ! ………とはいえ、わしもいささか、つかれたわい………」 北斗丸「どうしたらいいんだ………」 頼遠「北斗丸、あれを見ろ!」 北斗丸「女の人だ………しかも、あんなかっこうで」 頼遠「このさむさの中で、あれはふつうじゃない……… あいつ、人間じゃないな。ゆきおんなだろう」 北斗丸「ゆきおんなだって?」 ゆきおんな「………あなたたちは、どこまで行くのですか?」 北斗丸「えっ、あ………それが、みちにまよっちゃって………」 頼遠「北斗丸!ゆきおんなと話をしちゃダメだ!!」 北斗丸「ええっ!?」 ゆきおんな「ア−ッハッハッハ、まんまと引っかかったわね。 わたしと話したがさいご、このゆきの中から出ることはもう、できないのよ!」 北斗丸「そんな、ひどいじゃないか!」 ゆきおんな「わたしはね、気に入った男をこおらせるのが、しゅみなの。 でも、あんしんしてちょうだい。あなたたちは、わたしの家にかざっておいてあげる」 阿古耶「気に入った男って………あたしは女だよ。あたしは、どうなるのさ?」 ゆきおんな「女はいらない。そのへんに、すてていくわ」 阿古耶「なんですってえ!ふざけんじゃないわよっ!!」 頼遠「北斗丸………ここからにげ出すには、ゆきおんなを倒すしか、なさそうだぞ」 北斗丸「そうだな。よし勝負だ、ゆきおんな!」 ゆきおんな「あ−ら、こしゃくなぼうやね。いいわ、あいてになってあげる!」 ゆきおんなが、おそってきた! 北斗丸「うう………」 ゆきおんな「ウフフ、うれしいわ。さあ、家に行きましょうか……… きれいに、かざってあげるからね」 ゆきおんな「あああ………に、人間なんかに……ま、負けるなんてえ………」 火鷹「ふざけんな。オレは、てめえなんかより強いぜ」 北斗丸「さあ、ここから出してくれ」 ゆきおんな「フッ……くやしいけれど、わたしの負けね。わかったわ」 ゆきおんな「でも、ざんねん。あなたたちを、家にかざりたかったわ……… 気が変わったら、また来てね……」 頼遠「じょうだんじゃない!」 北斗丸「うわっ!?急にふぶいてきたな」 頼遠「早く、このあたりをぬけ出さないと、こごえてしまうぞ」 ふうり「ワイのなわばりにまた入って来るなんて、ふてえヤツらじゃあ。 ちょっと、こらしめてやるぜい」 北斗丸「今度こそ負けないぞ!!」 ふうり「やかましいぞう!」 ふうりが、おそってきた! とつぜん、なにかがとんできた! 頼遠「あっ、あぶないッ!」 ふうり「ちぇっ、はずれたぜい」 北斗丸「だれだ、出てこい!」 ふうり「わめくんじゃねえぞう。今、行くぞう」 ふうり「ワイは、ふうりだぞう。 ワイのなわばりに勝手に入って来るなんて、ふてえヤツらじゃあ。 ちょっと、こらしめてやるぜい」 北斗丸「なんだって、らんぼうなヤツだな!」 ふうり「やかましいぞう!」 ふうりが、おそってきた! 北斗丸「うう………ま、負けた……」 ふうり「ざまあみろお。二度と、ここへ来るんじゃないぞう」 ふうり「うう………イテテエ」 北斗丸「これで、こりたろう。もう、らんぼうをするんじゃないぞ」 頼遠「少しあまいんじゃないか?北斗丸。 こんな、人をこまらせるようなヤツには、きびしいばつを与えてやったほうがいいぞ」 ふうり「かっ、かんべんしてくれい!もう二度と、こんなことしないよう」 北斗丸「こういってるし、ゆるしてやろう。 そのかわり、もう悪さをするんじゃないぞ」 阿古耶「また悪さしてるとこ見つけたら、今度は、ようしゃしないからね」 ふうり「よかったあ。ゆるしてくれて、ありがとう。 おれいに、この『しびれぐさ』をあげるよう。 これをなげてぶつけると、あいてのうごきがとまるんだあ。なにかに、役だててくれよう」 頼遠「ははあ、さっきなげてきたのは、これだったんだな」 ふうり「そうだよう。そんじゃ、ワイは帰るぞう」 『しびれぐさ』を9こ手に入れた! 『しびれぐさ』を手に入れた! そうしゅん「魔力を、かなりかいふくさせてしんぜよう。仲間にしてみんか?」 仲間にしますか? そうしゅん「このとしではむりなのかのぅ……」 そうしゅん「このろうこつのわざまえ、とくとごらんにいれようぞ!」 そうしゅんが仲間になった!え そうしゅん「仲間がおおすぎるようじゃな。もうしばらく、ここでめいそうするとしよう」 北斗丸「こんなところに、あながあるぞ」 頼遠「本当だ。中に入るには、少し小さすぎるがな」 声「やくそうをください………やくそうをください………」 北斗丸「あなの中から、声がする!やくそうがほしいって、いってるみたいだ」 頼遠「やくそうなら、あるけれど………どうする、北斗丸? このあなに、やくそうを入れてみるか?」 頼遠「でも、やくそうなんて持っていないぞ」 北斗丸「なんだか、おもしろそうだな。入れてみよう」 北斗丸は、やくそうを、あなに入れた 声「………やくそうをください………もうひとつ、やくそうをください…………」 北斗丸「ええっ、もうひとつだって?」 頼遠「もう、やくそうがないぞ」 頼遠「やくそうなら、まだあるけれど………どうする、北斗丸?やくそうを入れるか?」 やくそうを入れますか? 北斗丸「やめておこう。大切なやくそうをムダ使いできないよ」 北斗丸「いくつ入れればいいんだろう?少し、心配になってきたな」 北斗丸は、やくそうをあなに入れた 声「ありがとう………あなたたちは、本当にやさしい方ですね………」 北斗丸「わっ!あ、あなたは?」 天女「わたしは、この山に住むものです。 やくそうのおれいにこのヒョウトクをあげましょう」 北斗丸「えっ、この男の子をですか?」 法輪「こりゃまた、ずいぶんババッチイこどもじゃのう」 天女「ええ………よごれたこどものように見えますが、 これでも、わたしたちの仲間です。この子を連れていけば、きっと、役に立つでしょう」 北斗丸「わ、わかりました。おあずかりします」 天女「この子がひつようなくなったら、仲間からはずしなさい。 この子は自分でここまで帰ってきますから」 北斗丸「はい」 天女「それでは、ヒョウトク。 この人たちが、おまえをひつようとしなくなるまで、ついていきなさい。 わかりましたね?」 ヒョウトク「アイ」 ヒョウトクが、仲間になった! 天女「それでは、しっかりね………」 |