セリフ 24


義経「………おまえたち、人間だな。どうやって、ここまで来た」
北斗丸「弁慶さんに、教えてもらったんだ!」
義経「弁慶?弁慶が、おまえをつかわしただと?………して、なんの用だ」
北斗丸「人間をおそうのを、やめてほしいんだ」
義経「そうはいかん………オレは、人間にふくしゅうしてやるのだ。
オレたちをうらぎった人間にな!」
頼遠「あんたをうらぎったのは、頼朝だろう!
他の人間には、つみはないはずだ」
義経「オレは、人間ぜんぶにいやけがさしたのさ。
こんないやらしい生きものは、みんな死んでしまった方がいいんだ」
北斗丸「そ、そんなことない!
人間にも妖怪にも、いいヤツはいっぱいいるんだ。
みんな、仲よくやっていけるよ!」
義経「ええい、うるさいヤツめ。その口、ふさいでくれる!」
義経が、おそってきた!



北斗丸「と……とうさん!」
頼遠「あっ、北斗丸!」
義経「な、なに………とうさんだと……?おまえは、オレのこどもか?」
北斗丸「はい。とうさんのこどもの、北斗丸です」
義経「そうか……おまえが、オレの………だから弁慶は、おまえをつかわしたのか………
たくましく、そだってくれてうれしいぞ………北斗丸」
北斗丸「とうさん……」
義経「グ、グホッ!」
北斗丸「ど……どうしたんだ、とうさん!」
義経「ぬ、ぬらりひょんめ………
いつのまにか、オレに術をかけていたらしい………」
北斗丸「なんだって!」
義経「いいか……よく聞け、北斗丸。この体は、もうオレのものではない……
取り返しのつかないことになる前に、おねがいだ………とどめをさしてくれ………」
北斗丸「そ、そんな………できないよ、そんなこと!」
義経「やるんだ!このままでは、オレはおまえを殺してしまう……」
北斗丸「できないよ、とうさん………」
義経「バカめ………
それなら、オレがおかしくなる前ににげてくれ……にげて………グワァッ!」
義経「グワアア−−−ッ!!」
北斗丸「と、とうさ−−−ん!」
頼遠「北斗丸、あぶない!」
義経が転身して、おそってきた!!



義経「う、うう………北斗丸、ぶじか………?」
北斗丸「だ……だいじょうぶだよ、とうさん」
義経「………それならいい………オレは、もうダメだ」
北斗丸「と、とうさん………ごめんなさい」
義経「なぜ、あやまるのだ。おまえのしたことは、正しいことだぞ………
それに、オレはうれしいのさ。
正気をなくす前に、実のこどもの手で死ねるのだからな………」
北斗丸「…………」
義経「……めいわくをかけたな、みんな……
兄上のむごいしうちに、こうぎするはずだったのに………
ぬらりひょんなどにあやつられ、いつのまにか、ヤツの思い通りにうごいていたのだな………
すまなかった、北斗丸」
北斗丸「そ、そんなこと……」
義経「めいわくのかけついでに、一つたのみがある………聞いてくれるか?」
北斗丸「は……はい!」
義経「……兄上を、とめてくれ………
今のままでは、人間と仲よくしている妖怪まで、みんな殺されてしまう……
その前に、兄上の目をさましてくれ。たのむ………」
北斗丸「はい、わかりました!」
義経「……ありがとう、わが子よ………………さらばだ………」
北斗丸「とうさん!」
北斗丸「……さよなら、とうさん………」
阿古耶「北斗丸………」
北斗丸「みんな、鎌倉へ行こう。とうさんとのやくそくをはたさなきゃ」
火鷹「……ああ」
阿古耶「……そうだね。鎌倉で、すべてがおわるんだ!」



弁慶「北斗丸さま、義経さまは………?」
北斗丸「そ、それが………」
北斗丸は、弁慶にすべてを話した
弁慶「………そうですか。
さいごに北斗丸さまに会えて、義経さまも、きっとうれしかったでしょうね………」
法輪「そうですな。おだやかな、いい顔をしていましたぞい」
弁慶「…………よかった……」

北斗丸「弁慶さん………」
阿古耶「ないてるの、弁慶さん?」
頼遠「シッ、阿古耶。弁慶さんにとって、義経どのはとても大切な人だったんだよ……」
弁慶「い、いや、お見苦しいところを見せましたな………
それでは、鎌倉までおくりましょう。
義経さまのためにも、がんばってください」
北斗丸「はい!」
法輪「よ−し、出発じゃい!」



景時「ようやく、さいごの妖怪をやっつけました。
これで、鎌倉の妖怪は、みな殺しになったはずです」
頼朝「ウム、ごくろうであった。では、よその妖怪に取りかかるように」
景時「はい。しかし、こう町の数がおおくては、わたしたちだけでは………」
頼朝「わかった、かんがえておこう。さがってよい」
頼朝「フッフッフ………妖怪どもめ、待っているがいい。
もうすぐ、一ぴきのこらずやっつけてやるぞ。
このわし、鬼追うものの頭目、頼朝がな………」


弁慶「さあ、ここまで来れば、鎌倉はすぐそこです。
本当ならば、もっと近くまで行きたいのですが………
てんぐのわしが行けば、大さわぎになるに決まっていますからな」
北斗丸「ここまでで、じゅうぶんです。ありがとう、みなさん」
弁慶「では、おねがいします。人間と妖怪が、仲よくやってゆくために………
がんばってください、北斗丸さま。あなた方に、この国のみらいをたくします」
北斗丸「はい、まかせてください!」