セリフ 20


牛頭「やっと、見つけたぜ!」
馬頭「今度こそ、にがさねえ!」
義仲「牛頭と馬頭だ!」
北斗丸「しまった、おいつかれたか」
牛頭「さんざん、好き勝手をしてくれたな。だが、今度はそうはいかねえぞ」
馬頭「ああ、そうだとも。
とっつかまえて、えいきゅうにこの国から、出られないようにしてやるからな!」
牛頭と馬頭が、おそってきた!


頼遠「しぶといヤツだったな………」
義仲「グズグズしては、いられんぞ!
牛頭と馬頭のあとを追って、他のヤツらも来るにちがいない。
その前に、早く霊鏡のところに行くのだ!」
巴「さあ、早く。霊鏡は、このおくにあります」
巴「あら、『くさなぎのつるぎ』は、いらないんですか?
ここの、一番上にあるんですよ」
義仲「オレたちが行けるのは、ここまでだ」
巴「死んだわたしたちには、この鏡を通りぬける力がないのです。
むりに行こうとすれば、力を使いはたしてしまうでしょう」
阿古耶「そうしたら、どうなるの?」
義仲「さあな。さまようたましいとなるか、チリとなって消えるか………」
阿古耶「そ、そんなぁ」
巴「そんなことより、お別れの前に、聞いてほしいことがあるのです……
どうか、頼朝には、気をゆるさないでください」
法輪「ど、どういうことですかな?」

義仲「頼朝と義経、それにオレたち源氏には、鬼追うものの血がながれているのだ」
北斗丸「鬼追うものの血?たしか、アメノミカゲもそんなことをいっていた………」
義仲「鬼追うものとは、妖怪退治のさだめを持つ一族のことだ。
オレたちはむかしから、悪い妖怪から人間を助けてきたんだよ………
頼朝が、力を持つまでは」
巴「頼朝は、源氏の頭目として力を手に入れると、つぎつぎに妖怪をやっつけていきました。
それが人に悪さをしない、いい妖怪であっても、おかまいなしに………
はじめは、それでも頼朝のいう通りにしていたのです………」
義仲「しかし、ヤツのやりくちはあまりにもひどすぎた。
だからオレと義経は、ヤツに意見をしに行ったのだ………」



義経「兄上、見さかいない妖怪退治は、もうやめてください。
妖怪の中には人間と仲よくやって行こうという、やさしいものもいるのです」
義仲「オレも、同意見だ。
こんなことをつづけていたら、源氏はあらゆる妖怪を敵にまわしちまうぞ」
義経「兄上、おねがいです!」
頼朝「……フッ、なにをバカなことを。
妖怪など、世の中をみだすだけのそんざいではないか。
くだらないことをいわず、早く妖怪どもをみな殺しにして来い」
義経「兄上!なぜ、わかってくれないのですか?
妖怪と人間は、仲よくやって行けるんですよ」
頼朝「しつこいぞ………そういえば、おまえの部下の弁慶とやら………ヤツは妖怪だそうな。
鬼追うもののおまえが、妖怪など部下にしていては、他のものにしめしがつかん」
義経「兄上、まさか………」
頼朝「義経、弁慶を殺せ。できなければ、おまえをうらぎりものと見なす」
義経「な……なんてことを!弁慶は大切な仲間です。殺すなんてできません!」
義仲「そうだ、ムチャをいうな!悪い妖怪を倒すのが、オレたちのしごとだ。
いい妖怪を殺せるわけ、ないだろう」
頼朝「フッフッフッ………とうとう、しっぽを出したか。
おまえらは、やっぱり妖怪と手をむすんだ、うらぎりものだったのだな。
そこまでヤツらをかばうのが、なによりのしょうこだ」
義経「兄上!?」
頼朝「だまれ!もう今日からは、おまえを弟とは思わぬ。
義仲とともに、あの世で妖怪どもがみな殺しになるのを、見ているがいい!」


頼朝「こいつらは、妖怪にたましいをうった、うらぎりものだ!たたき切ってしまえ!」
さむらい「おうっ!」
義経「兄上!これが、あなたのために、はたらいて来たものへの、しうちですか?
本当にオレたちが、あなたをうらぎったと思うのですか!?」
義仲「やめろ義経、ムダだ。それより、にげるぞ!」
義経「しかし……っ」
義仲「いいから、来い!」
頼朝「ヤツらをにがすな!!」



義仲「………しばらくして、オレたちは頼朝の追っ手に殺されたのだ」
頼遠「そんなことが、あったなんて……」
巴「あなたたちが、頼朝のために『三種の神器』を探しているのだとしたら、気をつけてください。
頼朝はきっと、神器によって手に入れた力で、妖怪をみな殺しにしようとするでしょう。
くれぐれも、頼朝には気をつけて」


巴「では、元気でね。わたしたちのいったことをわすれないで」
北斗丸「は……はい。お世話になりました」
阿古耶「気をつけてね!」
巴「ありがとう………あなたたちが、この国に来るのがなるべく、おそくなりますように」


義仲「用意はいいか、巴」
巴「ええ。ひさしぶりに、ひとあばれしましょう!」
義仲「われこそは、木曽義仲なり!ザコども!かかってこい!!」




法輪「あいたたた………こ、こしをうった……」
阿古耶「ここ、黄泉の国じゃないよね?あたしたち、助かったんだ」
火鷹「そうらしいな」
頼遠「しかし、ここはどこなんだ?」
声「北斗丸………北斗丸………」
北斗丸「あっ、この声は!」
声「ぶじに、にげられたようですね………よかった………」
阿古耶「ここは、どこなんですか?」
声「ふじ山のふもとにある、樹海です……もう、ひとがんばりですよ…」
法輪「それはいいんじゃが………
イテテ、わしはさっき、こしをうってしまってのう………うごけそうにないのじゃ」
声「それでは、わたしが治してあげましょう………他のみなさんも………」
みんなは、元気になった!
法輪「おお、ありがたい。これで、あんしんじゃ」
声「では、がんばってね………わたしは、いつでも見守っていますよ………」



めいほうさんを手に入れた!
からっぽです!


鬼「あっ!あんたたちは、ろうごくをにげだした、生きた人間だね。
いいこと教えてあげるから、いじめないで!
もし、ぼくとうを持ってたら、この社の東にある大木のところへいってごらん。
でも、ぼくとうはそうびしちゃダメだぜ。じゃあね−−−!」



ふしぎな光をあびて元気になった!



少年「やくそくを、やぶるでないぞ」
女官「早く、行け!」
女官「おうじのお心、むだにするでないぞ」
少年「そなたたちは、だれ?」
北斗丸「北斗丸といいます。
そこの、『くさなぎのつるぎ』を手に入れるために来ました」
女官「なに、『くさなぎのつるぎ』じゃと?さては、おぬしら源氏のものじゃな!」
女官「こんなところまで来るとは、なんとしつこいヤツじゃ。
源氏などにわたしたら、『くさなぎのつるぎ』がけがれるわ。下がれ!」
北斗丸「ちょっと、待ってください。
たしかにオレたちは、源氏の人間ですけど、
『くさなぎのつるぎ』は世の中を平和にするためにひつようなんです!」
少年「平和のため………?」
女官「だまれ!源氏のいうことなど、信じられぬ。帰れ!」
女官「帰らぬと、こうじゃ!」
女官が、おそってきた!
少年「やめよ!」
女官「でも………」
少年「わたしにさからうことは、ゆるさぬ。その人たちと、戦ってはならぬぞ」
女官「…………はい」
少年「ケガは、ないか?」
北斗丸「はい、ありがとうございます」
少年「わたしは、だんのうらの戦いで死んだ平家のおうじだ。
『くさなぎのつるぎ』は、わたしといっしょに海にしずみ、黄泉の国に来た。
ずっとこの国におくつもりでいたが、平和のためなら、そなたにあげてもよい」
女官「そ、そんな!」
少年「平和の大切さは、身にしみてわかっているつもりだ…………
ただし、かならず平和に役立ててほしい。やくそくできるか………?」
北斗丸「はい!」
少年「よし、受け取るがよい」
『三種の神器』のひとつ、『くさなぎのつるぎ』を手に入れた!
少年「わすれるな。『三種の神器』は、三つそろえると、
とてつもない力を手に入れることができる。
その力、平和のためいがいに、使ってはならぬぞ」
北斗丸「はい、やくそくします」