義仲「うお−い、待てぇぇぇいっ!!」 義仲「なんだ、あの牛頭を倒したのは、どんな大男かと思って見に来たら…… なんだか、よせあつめみたいなヤツらだな」 火鷹「なんだ、てめえは?」 義仲「おお、オレは木曽義仲。黄泉の国で、一番強いさむらいだ」 頼遠「義仲どの!?」 法輪「ほほう……義仲どのといえば、 源頼朝どののイトコ、つまり頼遠のおじさんじゃな」 阿古耶「この人が、頼遠のおじさん!?」 義仲「では、おまえは頼朝のむすこか………年は、いくつだ?」 頼遠「26歳です」 義仲「そうか、オレは31歳だ。 おじさんといっても、年はそんなに、はなれていないな」 北斗丸「そうですね」 義仲「………なぜだか、わかるか?」 阿古耶「ええっ?わかんないわよ、そんなの」 義仲「では、教えてやろう。黄泉の国では、年を取らないからだ。 十数年前に、頼朝に殺されてから、オレはず−−−っと31歳のままなんだよ! ちょうどいい、ここでそのうらみ、はらしてくれる! ……と、いいたいところだが、その前にかいふくをさせてやる。 オレは、せいせいどうどう戦いたいのでな!!」 義仲「……これで、よかろう。では行くぞ!転身!!」 北斗丸「て、転身だって!? オレたちの他にも、転身できる人間がいたなんて………」 義仲「これぞ、わが源氏に伝わる転身の術だ!」 義仲が、おそってきた! 義仲「ウヌッ!なんの、これしき!」 法輪「わわっ、また来るぞい!」 巴「こら−−−っ!!」 義仲「ゲッ、巴だ!ま……まずい」 巴「義仲さま、なにをやってるのですか!! この間もケンカして、えんまさまにおこられたばかりでしょう!!」 義仲「うっ」 巴「男でしょう!にげないで、こっちにいらっしゃい」 義仲「に……にげてなんか、おらぬぞ」 巴「どうして、あなたって方はそう、ケンカッ早いのですか。 頼朝のしうちは、この人たちにはかんけいないでしょう」 義仲「そう、おこるな。頼朝の名前を聞いたら、ついカ−ッとなってしまったのだ」 巴「ほら、あやまりますよ」 義仲「うう……」 巴「ごめんなさい。ビックリしたでしょう?」 義仲「うう……すまぬ………」 阿古耶「義仲さんって、巴さんに頭が上がらないのね」 北斗丸「あの、巴さん。 ろうやのカギを開けてくれてオレたちをはげましてくれたのは、あなたですか?」 巴「ろうやのカギ………?いいえ、わたしじゃありません。 あのろうやのカギを開けるのは、とても霊力をひつようとするんです。 わたしの力では、とてもむりだわ」 北斗丸「じゃあ、だれなんだろう? なんだか、なつかしいような感じがしたんです」 巴「そう………きっと、あなたのことを、とても大切に思っている人なのでしょうね」 北斗丸「オレのことを………?」 巴「それよりさっき、生きている人間が、 この国にまよいこんでいるという話を聞きましたが………あなたたちのことでしょう?」 北斗丸「あ、はい………そうです。 『くさなぎのつるぎ』を探していたら平家のぼうれいに、黄泉へ引きずりこまれたんです」 巴「『くさなぎのつるぎ』?それなら、この国にありますよ」 頼遠「本当ですか!?」 義仲「本当だ。南東の、霊鏡の社にあるぞ」 北斗丸「よかった!そこに、連れて行ってもらえますか?」 巴「いいですとも。 それに、社にまつってある霊鏡は、黄泉の国と日本をつなぐ通路なのです。 その鏡を使えば、あなたたちは元の世界へもどれるかもしれませんよ」 法輪「おお!そりゃあ、ちょうどいいわい」 巴「ただし、急がなければなりません。 ここのくうきは、生きているものがすうと、だんだん体がよわって、 しまいには死んでしまいますからね」 火鷹「よし、急ごうぜ」 木曽義仲と、巴が仲間になった! 義仲「霊鏡の社は、ここから南東に行ったところだぞ」 巴「このおくに、霊鏡をまつってあります。 『くさなぎのつるぎ』は、社の一番上にあります。 つるぎを手に入れたら、下までもどって来ましょう」 義仲「いろのちがうかべは、かくしつうろらしいぞ。気をつけろ」 |