北斗丸「やった、一番のりだ!」 てんちまる「また、やられたか」 たかやまる「北斗丸は、あしがはやいなあ」 ときわまる「それにしても、今日のけいこ、きびしかったなあ」 北斗丸「しょうがないさ。りっぱなさむらいになるためだ」 てんちまる「そんなにひっしにならなくても、 北斗丸は頼遠さまのお引き立てで頼朝さまにつかえるんじゃないのか?」 たかやまる「そうだよ、うらやましいぜ」 北斗丸「そんなの、わからないよ。それに、やっぱり強くなりたいし……」 ときわまる「そうだよな。やっぱり頼朝さまや、頼遠さまみたいなさむらいにならなくちゃ」 頼遠「おお−い、北斗丸!今、帰りか−−−?」 てんちまる「あっ、頼遠さまだ」 たかやまる「こんにちは、頼遠さま」 頼遠「おう。がんばってるか、おまえたち?」 北斗丸「どうしたの、頼遠さま?」 頼遠「その、さまってのはやめろよな。おまえを待ってたんだよ、北斗丸」 北斗丸「えっ、どうして?」 頼遠「父上の……源頼朝さまからのおよび出しだ。おまえを連れて、すぐに来いってさ」 北斗丸「ええっ!頼朝さまから?なんだろう……」 頼遠「さあな。とにかく、行ってみようぜ」 北斗丸「じゃあな、みんな。またあした」 ときわまる「おう、またな」 頼遠「頼遠、北斗丸、まいりました」 頼朝「ウム。さっそくだが近ごろ、この鎌倉におきているじけんを知っているか?」 頼遠「じけん……ですか?」 頼朝「そうだ。妖怪が山て、人々を苦しめているのだ。 どうやら、その妖怪がこのやしきにも出るらしい。 それを、おまえたちにしらべてほしいのだよ」 北斗丸「頼朝さまのおやしきに出るなんて、ふてぶてしい妖怪だ。 きっと、退治してやります」 頼朝「たのもしいのう……まかせたぞ。ざしきが怪しいと思うのだ。行ってみてくれ」 頼遠「はい」 義経「おそい!ものみにやったものたちは、一体どうしたのだ!!」 三郎「義経さま!敵が、おしよせてきました!ここは、もうきけんです。にげてください!」 弁慶「ウヌッ、こんなところまで!」 片岡「一体、だれのしわざか!?」 義経「……知れたこと。オレの兄、源頼朝に決まっている」 弁慶「義経さま……」 義経「兄上はオレがにくいのだ!オレさえいなければ、天下は兄上のものになる。 だから殺したいのさ。兄上のために、命がけで戦ってきたこのオレをな!!」 義経「いいとも、死ぬまで戦ってやる!兄上がその気なら、てってい的にやるまでだ!」 声「ウオ−−−ッ!義経を殺せ−−−!!」 弁慶「来たぞっ!」 片岡「な、なにっ!?なんて数なんだ!」 景時「義経よ、もはやここまでだ。かくごを決めて殺されるがよい!」 三郎「きさまは頼朝の部下、景時だな。そうはさせん!」 三郎「ううっ!」 義経「三郎っ!」 片岡「ぎゃあっ!」 義経「片岡!」 三郎「く……っ、むねんだ……!」 片岡「義経さま……どうか、ごぶじで……」 義経「三郎!片岡!」 景時「さあ、いよいよきさまの番だ。かくごしろ!」 義経「きさま−−−!!」 景時「うて−−−−!!」 弁慶「あぶない、義経さま!」 義経「弁慶−−−!!」 弁慶「ウ……ウヌッ、こしゃくな……!この弁慶がいるかぎり、義経さまにはゆび一本ふれさせん!!」 義経「なんということだ……これが、兄上のしうちとは……! 兄上はオレを、りようしていただけなのか?用ずみになったら切りすてるというのか?」 義経「……よかろう。そういうことなら、もう兄でもなければ、弟でもない! たとえ、ここで死ぬとしても、きさまだけはゆるさぬ!!」 景時「うわあ、火をつけたぞ!」 弁慶「義経さま!?」 義経「兄上、いや頼朝!このうらみ、このくつじょくは、決してわすれんぞ!! オレはきさまをたおすため、まものとなって、きっともどってくる。 そして、きさまときさまの仲間をみな殺しにしてやるぞ!」 景時「なにをしている、早く火を消すんだ!」 景時「むうう!!」 義経「おぼえておけよ!頼朝ォォォ−−−−−!!」 |