SOFTWARE IMPRESSION




1988年(昭和63年)ファミコン通信のレビュー記事です。あのドラクエの方ですね。






キャプテン翼
テクモ 5500円
発売中

 
ご存じ、翼クンが活躍するサッカーゲーム+アドベンチャー。斬新なゲームデザインが評判を呼んだ。


おニューなゲームスタイルなのだ

 君がいれば喜びは倍に、くやしさも倍に。『キャプテン翼』はそんなゲームだ。
 今までのスポーツゲームは、すべてアクションだった。 一瞬のミスで負けてしまう。ヤだ! 私は知性でスポーツをしたい。 横にいる人は、ただ見ているだけ。ヤだ!  皆で仲よく味方になりたい。アニメの迫力もほしい。 でも、スピード感がなきゃヤだ! キャラにもっと個性がほしい! ドラマがほしい!

 無理が通って、『翼』が生まれた。

 「パスは誰に渡そうか。翼に渡してドライブシュートか?  いや、一旦政夫に渡して和夫にパス、スカイラブシュートの方が?  ええい、強引にドリブルだ。よし、敵をはねとばした。進め、進めー!  だめだ、4人に囲まれてしまった。今度こそ翼にパス。うーん、パスが低い。 あ、敵が来た。ボールが敵の体に当たった。勢いが弱まった。  うーん、どうだぁー。よし! 翼がボールに合わせた。オーバーヘッドキックー! 入ったぁー! 敵のゴールにボールが突きささったぁー!」

 気がついたら、握りしめたコブシに汗がにじんでいる。迫力のアニメ。スピード感。賭け。 熱くなる要素がフンダンに盛りこまれている。 スポーツをRPGにしたおかげで、見ている者もいっしょになって、選手にも、監督にも、観客にもなれる。 そこには新しい興奮がある。 パーソナル(個人の)ではなく、 ファミリー(みんな)のコンピュータ(楽しさ)が味わえる。

 惜しいところも少しはある。敵の攻撃の最中は何もできないとか、岬くん捜しが少し中途半端だとか、 しかしそんなことを吹きとばすだけの価値がある。

 TVゲームに、また新しい可能性が生まれた。そんな希望を与えてくれた一品です。
 

中村光一(チュンソフト)


キャプテン翼1 その他