おじいさん「鎌倉から来なさったのか。遠いところ、ごくろうさまじゃのう」 女「ずっと南に行くと、小さないおりがあるの。なんだか、ぶきみなところよ」 男「東の神社は、そのむかし源氏の人間がたてたっていうぜ」 男「東の神社には、三体の神さまが、まつられているんだ」 少年「西のおかに、へんな人がいたよ」 男「この村には、のろいがかけられていてねえ。 みんな、そのせいでびょうきになって、死んじまう」 男「この村も、平和になったよねえ」 北斗丸「ここは、カギがかかっているみたいだ」 北斗丸「カギを開けるよ」 北斗丸「よし、開いたぞ!」 女「むかしは、この村にも人が、たくさんいたんです。 でも、死んでしまったりこわがって引っこしたりして、今では、このありさまです」 女「また、むかしのように、かっきのある村に、してみせます」 少年「村長さんも、びょうきなんだよ。 村長さんは、どうしてびょうきがはやったのか、そのわけがわかったっていってたよ。 村長さんの家なら、村の東だよ」 少年「村長さん、げんきになったんだよ」 少女「きのう、おはかまいりに行ったの。 そしたら、おはかがほり返されてて……うう、こわいよう」 少女「びょうきがなくなって、よかったな」 村長「おお………めずらしい顔じゃな」 北斗丸「こんにちは。オレ、北斗丸といいます」 村長「こんにちは………わたしは、このまつまえ村の村長じゃ……… せっかく来てくれたのに、おかまいもできずに、もうしわけない……… わしのつまと、こどもはびょうきで、死んでしまってなあ。 わしも、この通りの体でうごけないんじゃ………」 北斗丸「いいんですよ。そんなことより、 どうしてこの村には、こんなにびょうきがはやってしまったんですか?」 村長「それは………妖怪のしわざなんじゃ。 人間にのろいをかけ、びょうきにしてしんだら、それを食う……… こくりばばあという妖怪のな」 阿古耶「こくりばばあ?」 村長「こくりばばあは、とても大食らいじゃ………… だから、まつまえ村の人間を、みんな殺して食ってしまうだろう。 それどころか、他の村も、おそうかもしれん………」 法輪「それは、たいへんじゃぞい」 頼遠「そいつを倒す方法は、ないんですか?」 村長「わしには、わからん………じゃが、うちの、くらの中を探してみてくれ。 まきものが、あるはずじゃ……… わしも、こくりばばあのことをそのまきもので、しったのじゃよ。 だから、もっとよくしらべれば倒す方法も、わかるかもしれんぞ」 北斗丸「じゃあ、くらを探してみます」 村長「ありがとう。これが、くらのカギじゃ………持っていきなさい」 『くらのカギ』を手に入れた!! 村長「では、気をつけてな」 村長「どうだったかね………なに、お仲間が?……… そうか、くらのことなんて教えるんじゃなかったのう」 北斗丸「いいえ………オレたち、これからおそなえ山に行きます。 そこに、こくりばばあの苦手なものが、あるらしいんです」 村長「そうか………おそなえ山は、ここから北東に行ったところにある。 ゆうばり村の、さらに北じゃ。気をつけていきなされ。 帰ったら、またわしのところへ来るんじゃぞ」 村長「おそなえ山は、ここから北東に行ったところにある、ゆうばり村のさらに北じゃ。 気をつけていきなされ。帰ったら、またわしのところへ来るんじゃぞ」 村長「おお………よく帰ったな。それが、こくりばばあを倒すためのどうぐかね」 北斗丸「そうです」 村長「では、さっそく、こくりばばあの住みかへ行くがいい。 ヤツは、この村のとなりの、ぼちにいるらしい………気をつけてな」 北斗丸「はい。ありがとう、村長さん」 村長「気をつけてな」 村長「いやあ、急に元気になったわい。 きっとあんたらが、こくりばばあを倒したんじゃろうと思っとったんじゃ。 ありがとう、ありがとう」 北斗丸「いえ、そんな………あっ、そうだ。くらのカギを、お返しします」 村長「おお、そうじゃったな」 くらのカギを返した! 村長「たいしたものはないが、くらの中のものは、あんたたちにあげるよ。 じゆうに持っていってくれ」 村長「あんたたちは、村の恩人だ。ありがとう、ありがとう」 |