おろく「見える、見えるわ。あなた旅の人ね。 あたし、うらない好きのおろく。なにか、うらなえたら教えてあげるわ」 おろく「見える、見えるわ。おそろしいことがおこるのが見える! あなた、それを聞くかくごがある?聞いたら、あなたもまきこまれるわ。 うでに自信がなければ、聞かないことね」 話を聞きますか? 北斗丸「やめておきます。もっと、きたえてから、また来ます」 おろく「そう……待ってるわ」 北斗丸「はい、聞かせてください」 おろく「いいわ……うう−ん……見える、見えるわ。 大きな鬼が来て、この村をおそうのが見える! そして、村を守れるのはあなたたちだけだということも!」 いばらぎどうじ「わっはっは!こんな村、オレたちにかかれば、ひとひねりだぜ!」 しゅてんどうじ「あせるな、いばらぎ。えものは、にげたりせん」 いばらぎどうじ「あせってなんか、いないぜ。まずは、そこの子どもからおそうとするか!」 いばらぎどうじ「そ、そんなバカな!オレたちが負けるなんて!」 しゅてんどうじ「いばらぎ!ここは、ひとまずおおえ山まで、にげるぞ!」 いばらぎどうじ「クッ!こんなくつじょくは、はじめてだ!」 北斗丸「おおえ山だって?」 頼遠「おおえ山は、京の南にある山じゃなかったか?」 阿古耶「それにしても、おろくって人のうらない、当たったね」 おろく「見える、見えるわ。大きな鬼と、あなたたちが村の入り口で戦っているのが!」 おろく「見える、見えるわ。鬼は、しゅてんどうじといばらぎどうじだったのね!? しゅてんどうじは、京のずっと南にある、おおえ山の鬼…… それに、いばらぎどうじは、さらに南のあたご山に住んでいるわ。 なんで、こんなとこまで来るのかしら……」 おろく「見える、見えるわ!しゅてんどうじは、京の南のおおえ山、 いばらぎどうじは、さらにその南のあたご山に、いるはずよ」 おろく「見える、見えるわ!きっと、あなたたちは、この国に平和をもたらすことができる!」 少年「東に行けば、鎌倉。西に行けば、京だよ」 男「京の西にあるおかに、きりんがいるらしいぜ。 でも、心のやさしい女の子の前にしか、すがたをあらわさないんだって」 おじいさん「きりんという、しんじゅうはのう。 つきみそうというくさが、大こうぶつなんじゃと」 おばあさん「このあたりには、女好きの妖怪が出るといわれとるんじゃ。 わしも、ねらわれないか心配で」 女「京の北のくらま山には、てんぐがいるんだって。 山に入る人に、おそろしいのろいをかけるそうよ」 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 男「いやあ、きんじょのおはるはきれいだなあ。 これは、うちのかかあにはナイショだよ」 おじいさん「西には、ひえい山がある。そのまた西のくらま山には、 おそろしいすがたのバケモンがいるというぞい」 おはる「あ−ら、お元気?」 おはる「なにか用ですか?」 おはる「わたし、今とってもこまってるんです。話を聞いてくださる?」 聞きますか? 北斗丸「ごめんなさい。今はそんなヒマ、ないんです」 法輪「う−ん、せっかくのベッピンさんのたのみなのに、もったいないのう」 おはる「そう、ざんねんだわ。気が変わったらまた、来てちょうだい」 おはる「あら、気が変わったの?話を聞いてくれる?」 聞きますか? 北斗丸「オレたちで役にたつんなら、よろこんで」 おはる「まあ、うれしい。実はね、わたし、ねらわれてるの………妖怪に」 北斗丸「なんですって!?」 おはる「その妖怪ったら、いつも家に来るの。やっつけてくださらない?」 北斗丸「それは、もちろんいいですけど………どんな妖怪なんですか?」 おはる「まっくろで、けむくじゃらのヤツよ。 ああ、いやだ……そうだ、もうすぐあいつが来る時間なの。 そこにかくれていて、あいつが来たらやっつけてちょうだい」 北斗丸「え、でも………」 おはる「いいから、早く」 おはる「ここで待ってて、いいわね」 ヤマコ「来たろ−−−っ!」 ヤマコ「さあ、今日も来たよ、いとしいしと。 今日こそは、ボクといっしょに行くんらよ」 おはる「いやよ。おまえもしつこいわね。妖怪なんか、わたし大キライなの」 ヤマコ「なんて、しどいことをいうんら。れも、ボクは負けないよ。 らって、キミが好きなんらもの、いとしいしと」 おはる「あ−っもう、いいかげんにして!今日という今日は、もうガマンできないわ。 出てきてちょうだい、旅の人!」 北斗丸「あのう、さっきから見てたんですけど……… これって、オレたちの出るまくじゃないんじゃあ………」 おはる「そんなことないわよ!こいつが、二度と来ないようにこらしめてちょうだい」 北斗丸「で、でも………」 ヤマコ「なっ、なんらおまえはっ!そうか、おまえ……… ボクのいとしいしとを、よこどりしようっていうんらな!そうはさせないろ!」 北斗丸「ち、ちがうんだ……」 ヤマコ「うるしゃ−−−い!」 ヤマコが、おそってきた! おはる「これにこりたら、もう来ないでよ」 ヤマコ「うう………」 阿古耶「ちょっと、いくらなんでも、そりゃあんまりじゃない!? この妖怪は、あんたのことが好きだったんでしょ。 それなのに、こんなコテンパンにするなんて、ひどいよ」 おはる「コテンパンにしたのは、あなたたちじゃない」 阿古耶「うっ………で、でも、こんなのひどすぎるよ!この妖怪が、かわいそうだ」 ヤマコ「うう………なんて、やさしいしとなんら」 阿古耶「………え?」 ヤマコ「しかも強いし………ボク、あなたのこと、好きになったみたいら!」 阿古耶「え−−−っ!?」 おはる「あら、よかったじゃないの。それじゃ、この人といっしょに旅をしたら?」 阿古耶「ちょっ、ちょっと待ってよ……」 ヤマコ「もちろんら。いとしいしと、ボクがいっしょに行って、守ってあげるらよ」 阿古耶「ひとりで決めないでよ!」 阿古耶「どうにかして、北斗丸」 北斗丸「ど、どうにかっていっても……」 頼遠「フッ……いいじゃないか、阿古耶」 法輪「おお、そうじゃ。旅はみちづれっていうしな」 阿古耶「もう、みんな、ひとごとだと思って!勝手にしてっ!」 ヤマコ「てれちゃって、かわいいんらから。じゃ、ほかのしとも、よろしく」 ヤマコが、仲間になった! ヤマコ「な−んら。こいつら、よわいじゃないか。 やっぱり、ボクの方がいいらよ、いとしいしと」 おはる「なによ、役たたず!もう、あんたらなんかに、たのまないわよっ」 おはる「もう、来ないでよね!」 |