セリフ 41



おろく「見える、見えるわ。あなた旅の人ね。
あたし、うらない好きのおろく。なにか、うらなえたら教えてあげるわ」
おろく「見える、見えるわ。おそろしいことがおこるのが見える!
あなた、それを聞くかくごがある?聞いたら、あなたもまきこまれるわ。
うでに自信がなければ、聞かないことね」
話を聞きますか?


北斗丸「やめておきます。もっと、きたえてから、また来ます」
おろく「そう……待ってるわ」


北斗丸「はい、聞かせてください」
おろく「いいわ……うう−ん……見える、見えるわ。
大きな鬼が来て、この村をおそうのが見える!
そして、村を守れるのはあなたたちだけだということも!」


いばらぎどうじ「わっはっは!こんな村、オレたちにかかれば、ひとひねりだぜ!」
しゅてんどうじ「あせるな、いばらぎ。えものは、にげたりせん」
いばらぎどうじ「あせってなんか、いないぜ。まずは、そこの子どもからおそうとするか!」


いばらぎどうじ「そ、そんなバカな!オレたちが負けるなんて!」
しゅてんどうじ「いばらぎ!ここは、ひとまずおおえ山まで、にげるぞ!」
いばらぎどうじ「クッ!こんなくつじょくは、はじめてだ!」

北斗丸「おおえ山だって?」
頼遠「おおえ山は、京の南にある山じゃなかったか?」
阿古耶「それにしても、おろくって人のうらない、当たったね」


おろく「見える、見えるわ。大きな鬼と、あなたたちが村の入り口で戦っているのが!」
おろく「見える、見えるわ。鬼は、しゅてんどうじといばらぎどうじだったのね!?
しゅてんどうじは、京のずっと南にある、おおえ山の鬼……
それに、いばらぎどうじは、さらに南のあたご山に住んでいるわ。
なんで、こんなとこまで来るのかしら……」
おろく「見える、見えるわ!しゅてんどうじは、京の南のおおえ山、
いばらぎどうじは、さらにその南のあたご山に、いるはずよ」
おろく「見える、見えるわ!きっと、あなたたちは、この国に平和をもたらすことができる!」



少年「東に行けば、鎌倉。西に行けば、京だよ」
男「京の西にあるおかに、きりんがいるらしいぜ。
でも、心のやさしい女の子の前にしか、すがたをあらわさないんだって」
おじいさん「きりんという、しんじゅうはのう。
つきみそうというくさが、大こうぶつなんじゃと」
おばあさん「このあたりには、女好きの妖怪が出るといわれとるんじゃ。
わしも、ねらわれないか心配で」
女「京の北のくらま山には、てんぐがいるんだって。
山に入る人に、おそろしいのろいをかけるそうよ」

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男「いやあ、きんじょのおはるはきれいだなあ。
これは、うちのかかあにはナイショだよ」
おじいさん「西には、ひえい山がある。そのまた西のくらま山には、
おそろしいすがたのバケモンがいるというぞい」



おはる「あ−ら、お元気?」
おはる「なにか用ですか?」
おはる「わたし、今とってもこまってるんです。話を聞いてくださる?」
聞きますか?


北斗丸「ごめんなさい。今はそんなヒマ、ないんです」
法輪「う−ん、せっかくのベッピンさんのたのみなのに、もったいないのう」
おはる「そう、ざんねんだわ。気が変わったらまた、来てちょうだい」
おはる「あら、気が変わったの?話を聞いてくれる?」
聞きますか?


北斗丸「オレたちで役にたつんなら、よろこんで」
おはる「まあ、うれしい。実はね、わたし、ねらわれてるの………妖怪に」
北斗丸「なんですって!?」
おはる「その妖怪ったら、いつも家に来るの。やっつけてくださらない?」
北斗丸「それは、もちろんいいですけど………どんな妖怪なんですか?」
おはる「まっくろで、けむくじゃらのヤツよ。
ああ、いやだ……そうだ、もうすぐあいつが来る時間なの。
そこにかくれていて、あいつが来たらやっつけてちょうだい」
北斗丸「え、でも………」
おはる「いいから、早く」
おはる「ここで待ってて、いいわね」


ヤマコ「来たろ−−−っ!」
ヤマコ「さあ、今日も来たよ、いとしいしと。
今日こそは、ボクといっしょに行くんらよ」
おはる「いやよ。おまえもしつこいわね。妖怪なんか、わたし大キライなの」
ヤマコ「なんて、しどいことをいうんら。れも、ボクは負けないよ。
らって、キミが好きなんらもの、いとしいしと」
おはる「あ−っもう、いいかげんにして!今日という今日は、もうガマンできないわ。
出てきてちょうだい、旅の人!」

北斗丸「あのう、さっきから見てたんですけど………
これって、オレたちの出るまくじゃないんじゃあ………」
おはる「そんなことないわよ!こいつが、二度と来ないようにこらしめてちょうだい」
北斗丸「で、でも………」
ヤマコ「なっ、なんらおまえはっ!そうか、おまえ………
ボクのいとしいしとを、よこどりしようっていうんらな!そうはさせないろ!」
北斗丸「ち、ちがうんだ……」
ヤマコ「うるしゃ−−−い!」
ヤマコが、おそってきた!


おはる「これにこりたら、もう来ないでよ」
ヤマコ「うう………」
阿古耶「ちょっと、いくらなんでも、そりゃあんまりじゃない!?
この妖怪は、あんたのことが好きだったんでしょ。
それなのに、こんなコテンパンにするなんて、ひどいよ」
おはる「コテンパンにしたのは、あなたたちじゃない」
阿古耶「うっ………で、でも、こんなのひどすぎるよ!この妖怪が、かわいそうだ」

ヤマコ「うう………なんて、やさしいしとなんら」
阿古耶「………え?」
ヤマコ「しかも強いし………ボク、あなたのこと、好きになったみたいら!」
阿古耶「え−−−っ!?」
おはる「あら、よかったじゃないの。それじゃ、この人といっしょに旅をしたら?」
阿古耶「ちょっ、ちょっと待ってよ……」
ヤマコ「もちろんら。いとしいしと、ボクがいっしょに行って、守ってあげるらよ」
阿古耶「ひとりで決めないでよ!」

阿古耶「どうにかして、北斗丸」
北斗丸「ど、どうにかっていっても……」
頼遠「フッ……いいじゃないか、阿古耶」
法輪「おお、そうじゃ。旅はみちづれっていうしな」
阿古耶「もう、みんな、ひとごとだと思って!勝手にしてっ!」
ヤマコ「てれちゃって、かわいいんらから。じゃ、ほかのしとも、よろしく」
ヤマコが、仲間になった!


ヤマコ「な−んら。こいつら、よわいじゃないか。
やっぱり、ボクの方がいいらよ、いとしいしと」
おはる「なによ、役たたず!もう、あんたらなんかに、たのまないわよっ」
おはる「もう、来ないでよね!」