セリフ 37



げん「ぬらりひょんは、ゆるせないヤツだ。がんばれよ、ねえちゃん」
くろ「るすは、オレたちにまかせとけって」
さぶ「ゆうかねえちゃんのかたき、きっととってくれよ」
まさ「オイラたち、がんばっているよ。心配いらないよ」
さくら「さくら、なかないで、まってるよ。だから、早く帰ってきてね」



法輪「こら、わしの話を、ちゃんと聞いとらんかったのか!?
あの鏡を、じっくり見させてくれい」

ゆうか「おはなし!ジャマよ」
まさ「あの人たちは、いい人なんだってば!
お金を返してあげてよ、ゆうかねえちゃん」
まさ「うわっ」
ゆうか「金を返せ?なにいってんだい!
そんなことしたら、今日はなにも食べられないんだよ」
まさ「で、でも……」
ゆうか「それに、金を返したって、どうせつかまるんだ!
だったら、にげてやるわよ。まさ、ジャマすると、あんたでもゆるさないよ!」
阿古耶「ゆうか!だいじょうぶだよ、つかまえたりしないってさ!」
ゆうか「信じられるもんか!信じたって、うらぎられるのがオチさ!」
北斗丸「本当です!役人のところなんて行きませんから!」
ゆうか「あたしたちはね、実の親にすてられたんだよ。
もう、この世で信じられるもんなんてなにもないんだ!」

なぞの声「気に入ったよ、そのたましい…………」

北斗丸「なんだ、この声は?」
頼遠「だれだ?すがたを見せろ!」
ぬらりひょん「あたしの名は、ぬらりひょん。
だれも信じられないという、そのむすめのたましいが、気に入った……
わがあるじの、配下におなり」
ゆうか「な、なんですって?や、やめて−−−!」

百々目鬼「ギャアア−−−!!」

北斗丸「ああっ!ゆうかさんが妖怪に!?」
まさ「ゆ、ゆうかねえちゃ−−−ん!」

ぬらりひょん「よ−し、百々目鬼よ。そいつらを食い殺すんだ」
阿古耶「そんなまさか……ゆうか!」
まさ「ゆうかねえちゃん、オイラがわからないのか!?」
百々目鬼「ガア−−−ッ!」
阿古耶「やめて、ゆうか−−−!」
ぬらりひょん「ムダだよ。悪しきたましいを持ち妖怪に変えられた人間は、
すべてのきおくをなくしてしまうからね。おまえたちのことも、わかりゃしないさ」
阿古耶「そ、そんな……」
百々目鬼「ガア−−−ッ!」
まさ「う、うわあ−−−っ!」
北斗丸「あぶない!」



阿古耶「ゆ……ゆうか−−−!」
げん「ゆうかねえちゃ−−ん!」
ぬらりひょん「なにっ!?百々目鬼が倒されるとは………
ウ−ム、あたしとしたことが、けいさんちがいだ。出なおすとしよう」



ゆうか「うう……み、みんな……」
まさ「ゆうかねえちゃん!」
ゆうか「ごめんね、まさ……ケガはない?」
まさ「平気だい」
ゆうか「よかった………」
北斗丸「ゆうかさん、オレたち……」
ゆうか「……北斗丸っていったね………まさたちを守ってくれて、ありがとう………」
阿古耶「ゆうか、しっかりしてよ!」ゆ
うか「……あたしはもうダメ……みんなをたのむわ、阿古耶……信じてるからね……」
げん「ゆうかねえちゃん!」
阿古耶「ゆうか−−−!」
まさ「ゆうかねえちゃ−ん!」


法輪「あの、ぬらりひょんとやらなんとむごいことを………」
阿古耶「……これ、返してもいいわ。あんたたちから、スリとったお金よ」
北斗丸「あ、ありがとう………いいのかい?」
阿古耶「うん。そのかわり、たのみがあるんだ」
頼遠「たのみ?」
阿古耶「そうよ。きいてもらえるんなら、あの鏡もあげる」
法輪「なんと、『やたのかがみ』をか!?よしよし、きくとも!」
頼遠「いや、待て。おまえのたのみとは、かたきうちではないのか?」
阿古耶「そうよ。ゆうかを、こんな目にあわせたヤツをあたしはゆるさない!
かたきをうちたいのよ、てつだって!」
法輪「な、なに……かたきとな?しかしなあ……」
阿古耶「おねがいよ!こんなことたのめるの、あんたたちしかいないんだ」
頼遠「どうする、北斗丸?」
北斗丸「…キミの気持ちは、よくわかるよ。いっしょに行こう!」
阿古耶「あ……ありがとう、恩にきるよ!」
阿古耶が、仲間になった!
阿古耶「げん、鏡を持ってきな」
げん「おう!」
阿古耶「さあ、やくそく通り、鏡をあげるよ。
お金といっしょに受け取って、北斗丸」
北斗丸「ありがとう」
お金を、取りもどした!
『三種の神器』のひとつ、『やたのかがみ』を手に入れた!


阿古耶「この町の北に、くらま山って山があるんだ。
妖怪が住んでるってウワサだから、きっとさっきのヤツもそこにいると思う」
北斗丸「わかった。じゃあ、あしたさっそく、そこへ行こう」
阿古耶「みんな、元気でね。あたしがいなくても、しっかりやるんだよ?」
まさ「うん!」
さぶ「だいじょうぶさ」
くろ「ねえちゃんも、がんばってね」
さくら「さくら、いいこで待ってる」
げん「オレたち、ここで力をあわせてがんばっていくよ!
ゆうかねえちゃんのかたきを、きっと、取ってくれよ」
阿古耶「まかしといて!」




法輪「や、やっぱり!!」
頼遠「どうしたっていうんだ?」
法輪「二人とも、おどろくなよ………
この鏡こそが、『三種の神器』のひとつ、『やたのかがみ』じゃ」
北斗丸「な、なんだって!?」
頼遠「たしかなのか?」
法輪「もちろんじゃ!わしは、むかしこの目で、『三種の神器』を見たことがあるんじゃ。
この形、このうつくしさ……まちがいないわい」
北斗丸「でも、なんで、こんなところに?」
法輪「それなんじゃが……まさ、この鏡は、どこで手に入れたんじゃね?」
まさ「え………こないだ、阿古耶ねえちゃんが……」


げんの声「あっ、ね、ねえちゃん!ず……ずいぶん早いじゃないか!」
阿古耶の声「なにを、あわててんだい。ほら、そこをおどき」
まさ「ど、どうしよう……阿古耶ねえちゃんの声だ!帰ってきちゃったんだ」
まさ「あ……阿古耶ねえちゃん、ゆうかねえちゃん……」
阿古耶「だれだい、そいつら!」
ゆうか「勝手に、鏡なんか見せて!
知らないヤツを、信用しちゃダメだっていってるだろ」
まさ「ご、ごめんなさい。
でも、この人たち、いじめられてたオイラを助けてくれたんだ。
だから、おれいに宝ものを見せてあげようと思って……」
げん「まさを、おこらないでよ!オレがいいっていったんだ」
阿古耶「……ったく、しょうがないね。でもまあ、ありがとね。あんた、名前は?」
北斗丸「あ……北斗丸です」
頼遠「そんなことより、この鏡はどうしたんだ?」
ゆうか「あんたたちには、かんけいないでしょ!」
法輪「そうは、いかん。この鏡は、大切なものでな。
わしらは、これを探していたのじゃが……
おまえさん、これをどこかで、ぬすんだんじゃないかね?」
阿古耶「……だったら、どうだっていうのさ!
いっとくけど、いったん手に入れたえものを、手ばなす気はないからね」
ゆうか「その通りよ。さあ、いたい目に会いたくなかったらとっとと帰りな!」
さくら「ゆうかねえちゃん!」
ゆうか「さくら、まさ、知らないヤツを、うちに入れたりしちゃダメだよ。
他人なんて、信用できないんだから」
法輪「これこれ、小さな子に人を信じるな……なんて教えちゃいかんなあ」
ゆうか「フン。だまされるよりマシさ」

頼遠「……ん?おまえ、どこかで見た顔だな」
北斗丸「えっ?」


ゆうか「あら、ごめんなさいね」


北斗丸「あ−−−っ!あのときのスリだ!」
法輪「なんじゃと、こいつが?つかまえて役人につき出してやる!」
ゆうか「チッ、しまった!」
阿古耶「ゆうか!」
さぶ「ゆうかねえちゃん!」
阿古耶「ここにいるのは、みんな親にすてられたこどもたちなんだ。
あたしたちは、みんなにごはんを食べさせるために、
スリやドロボウをしてかせいでるの。悪いことだってのは、わかってるけど……」
北斗丸「そうだったのか……」
法輪「なかせる話じゃのう。わかった、役人につき出したりなんかしないぞ」
阿古耶「……ありがとう」

法輪「うむ、これぞまさしく『やたのかがみ』じゃ」
まさ「この鏡は、オイラたちの宝ものなんだ。阿古耶ねえちゃんが持ってきたんだよ」
阿古耶「あんたたち、いい人だね」