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ごすけ「あかちゃんは、ずっとねむりっぱなしですよ」 ごすけ「やあ、これは、阿古耶おじょうさま。お元気でしたか」 ちょうじゃ「こどものゆくえはまだ、わからないのですか?」 ちょうじゃ「いらっしゃい。今日は、とまっていくんでしょうね?」 北斗丸「いいえ、けっこうです」 ちょうじゃ「そうですか。とまりたいときはいつでも、いってくださいよ。 もちろん、お金なんていただきませんから」 北斗丸「ええ、おねがいします」 ちょうじゃ「いいですとも」 ちょうじゃ「また、いつでもどうぞ」 女「だんなさまも、おくさまも、すっかり元気をなくしてしまいました」 女「いらっしゃいませ」 おなみ「ああ、あかちゃん………わたしのあかちゃん………」 おなみ「ようこそ、いらっしゃい。ゆっくりしていってね」 あかんぼう「スヤスヤ………スヤスヤ………」 あかんぼう「バブバブ、ダアダア」 ちょうじゃ「あっ、どうです?こどものゆくえは、わかりましたか」 北斗丸「ええ、まあ」 ちょうじゃ「よかった!」 ちょうじゃ「やい、ぼりょう!出てこ-い!!」 ちょうじゃ「さあ、のろいをといてもらおうか!」 ぼりょう「あたしのこどもは、どこ? 元気なすがたを、見せてくれるはずでしょ………」 ちょうじゃ「えっ、それは………北斗丸さん、どこにいるんですか?」 阿古耶「あたしよ!」 ぼりょう「なんだって、おまえが………?」 阿古耶「そうよ。ほら、このお守りに見覚えはない?」 ぼりょう「そ、それは、あたしのお守り! お、おまえ、本当にあたしのこどもなんだね………しあわせに、くらしているかい?」 阿古耶「そうだね………うん、しあわせだよ。仲間もいるしね」 ぼりょう「そうかい、よかった………じゃあ、やくそくは守るよ。 あかんぼうから、ぎゃく鬼を取ってあげる」 ちょうじゃ「あ、ありがとう!」 ぼりょう「ぎゃく鬼!もういいよ、出ておいで」 北斗丸「あれが、ぎゃく鬼か……」 ぼりょう「ぎゃく鬼!さあ、こっちへおいで」 ぎゃく鬼「………いやだね」 ぼりょう「なんだって!?」 ぎゃく鬼「あかんぼうの中は、いごごちがいいんだ。 オレは、ずっとここにいるぞ。このあかんぼうが、死ぬまでな」 おなみ「そ、そんな!」 ちょうじゃ「やくそくがちがうぞ!」 ぎゃく鬼「オレの知ったことじゃねえ。もんくがあるなら、力ずくで来な!」 頼遠「なんて、ひきょうなヤツだ!」 火鷹「フン………だが、その方がてっとり早くて、オレ好みだぜ」 北斗丸「よ-し。行くぞ、阿古耶!」 阿古耶「わかってる!」 ぎゃく鬼に、おそいかかった! ぎゃく鬼「チ、チクショウ………まだ、死にたくないよう………」 あかんぼう「スヤスヤ………スヤスヤ………オ、オギャア!オギャア!」 おなみ「あかちゃんが、目を覚ましたわ!」 ちょうじゃ「本当だ!」 ぼりょう「すまなかったわね………まさか、こんなことになるなんて」 おなみ「もう、いいのよ。それより、これでねえさんも、じょうぶつできるのでしょう?」 ぼりょう「ええ、心のこりもないしね……… あたしのこどもも、こんなに元気にそだってくれたし………」 阿古耶「あ、あの………」 ぼりょう「あたしの、かわいい子………一度だけ、だきしめさせておくれ」 阿古耶「あ、はい………ど、どうぞ」 ぼりょう「ありがとう」 法輪「これ、阿古耶。おっかさんとよんでやらんかい」 阿古耶「……おっかさん………ごめんね。 あたし、自分に親がいるなんて、かんがえてもみなかったから……」 ぼりょう「いいのよ。あたしこそ、親らしいことをしてやれなくて、悪かったわね」 阿古耶「ううん、そんなことない! あの………あたしのこと探してくれて、ありがとう」 ぼりょう「阿古耶………」 北斗丸「なんだ、あの光は!?」 法輪「ぼりょうが、じょうぶつしようとしとるんじゃ。見てみい、あのうつくしい光を」 阿古耶「お、おっかさん!」 ぼりょう「おまえのおかげだよ。ありがとう、元気でね……… あたしはいつだって、おまえのぶじをいのっているからね………………さよなら………」 阿古耶「………さよなら、おっかさん」 法輪「しあわせそうな、いい顔をしとったなあ」 阿古耶「あっ、お守りがなくなってる。 おっかさんたら、持っていっちゃったんだ………」 北斗丸「阿古耶………」 ちょうじゃ「阿古耶さん……と、いったね。 おたつさんのこどもなら、わたしたちのめいだ。 よかったら、うちの子にならんかね?」 阿古耶「ええっ!?」 ちょうじゃ「えんりょはいらんよ。 あかんぼうのねえさんに、なってくれればいいんだ」 おなみ「ぜひ、そうしてちょうだい。 きっと、おたつねえさんも、よろこぶわ」 阿古耶「あ、あたしが……このうちの子に?」 おなみ「うちの子に、なってくれるわね?」 阿古耶「………ごめんなさい。おことわりします」 ちょうじゃ「ど、どうしてだね?」 阿古耶「あたしには、こんな家のおじょうさんなんて、にあわないし……… それに、京には、あたしを待っててくれる弟たちがいるんです。だから、ごめんなさい」 ちょうじゃ「………そうか。でも、また遊びに来てくれるね?」 阿古耶「はい、もちろん」 阿古耶「行こうよ、北斗丸」 北斗丸「本当に、いいのかい?」 阿古耶「あったりまえよ。じゃあ、お元気で」 おなみ「あなたも、元気で旅をつづけてね」 ちょうじゃ「そうだ、阿古耶さん。せめて、これをもらっておくれ。 わが家の宝だけど、きっと旅に役だつはずだよ」 ゆめみのころもを、手に入れた! 阿古耶「ありがとう………おじさん、おばさん」 ちょうじゃ「それでは、元気でな。みなさん、また遊びに来てください」 阿古耶「はい」 頼遠「こうかいするなよ、阿古耶」 阿古耶「するもんか。これまでずっと、あたしのみうちはあの子たちだったんだ。 これからだって、そうさ」 法輪「でも、ちょっとおしい気もするのう」 |