キツネ「待てっ!」 法輪「キツネは、みんなしこくから出ていったのでは、なかったのか」 キツネ「あたしいがいは、みんな行っちまったよ! よくも、あたしのかわいい手下たちを…… あたしを、ただのキツネと思ったら大まちがいだよ。かくごおし!」 火鷹「口ほどにもねえ………じゃあ、とどめをささせてもらうぜ」 頼遠「ムダな殺生は、するな!」 火鷹「オレに、さしずするんじゃねえ」 北斗丸「火鷹、やめろよ!」 キツネ「うう……い、命ばかりは、ゆるして……… そのかわり、あなたたちが探している刀のありかを、教えるわ………」 法輪「なんと、『天下五剣』の!?」 キツネ「ええ……『天下五剣』のうちの一本ははるか北のえぞの森にあるの……… 力をたくわえて、いずれ取りに行くつもりだったけど……… 命あってのものだねだからね………」 阿古耶「本当だろうね!?」 法輪「えぞというと、わしの村よりずっと北の、うみをわたったところじゃぞ」 北斗丸「教えてくれて、ありがとう。 やくそくだから、もうなにもしないよ………火鷹も、いいよね?」 火鷹「………チッ!命びろいしたな」 キツネ「まったくだよ………じゃあ、あたしは消えさせてもらうよ……… せいぜい、気をつけるんだね」 北斗丸「あっ、これは!?」 法輪「おお、刀じゃ!」 頼遠「これは………なんて、うつくしい刀なんだ」 北斗丸「名前が、ほってある!ええと、三日月………だって」 火鷹「三日月だと!?それは、むかしオレが見つけた刀で『天下五剣』の中の一本だ! オレのもとめる刀ではなかったのでそのままにしておいたが……… まさか、キツネが宝ものにしてやがったとはな………」 法輪「なに、これも『天下五剣』なのか!」 阿古耶「きゃあっ!か、体があつい!」 北斗丸「見て、阿古耶と刀が、光ってる! あの光は、まちがいなく『天下五剣』のものだよ」 阿古耶「なによ、なにがはじまったのよ!?これ、なんなのよ−−−っ!」 頼遠「阿古耶、おちつけ!その刀を持って強くいのるんだ。 やりかたは、わかってるだろう」 法輪「阿古耶、がんばるんじゃ!」 阿古耶「う、うん……わかった」 退魔刀三日月を手に入れた! 北斗丸「さあ、阿古耶!」 阿古耶「三日月よ……もし、あたしがあんたの持ち主なら、目覚めて! そして、あたしに力を!」 阿古耶「こ、このすがた………本当に、あたしが三日月の持ち主なの? この、スリのあたしが………?」 頼遠「スリをしたのは、親のないこどもを食べさせるため、しょうがなかったんだろう」 法輪「そうじゃ。本当のおまえさんは、いい子じゃよ……… まあ、ちょっぴりオテンバがすぎるがのう」 阿古耶「みんな………」 北斗丸「その刀、阿古耶ににあってるよ」 火鷹「長々とゴタクをならべるんじゃねえ。 三日月が、阿古耶をえらんだんだ。それで、じゅうぶんだろうが」 阿古耶「……うん、ありがと」 北斗丸「それじゃ、行こうか」 からっぽです! |