セリフ 26



子ダヌキ「お帰り、おとうちゃん」
おくさんタヌキ「あんた、キツネはやっつけたのかい?」
タヌキ「まだッスよ。でも、きっとやっつけるからね」
おくさんタヌキ「たのむよ。このままじゃ、あたしたちまで、四国にいられなくなっちまうよ」
タヌキ「まかしとけッス」
おくさんタヌキ「人間さん、うちのダンナをよろしくおねがいします」
おくさんタヌキ「この子のためにも、たのみます」
おくさんタヌキ「そのせつは、本当におせわになりました」
子ダヌキ「オイラも早く大きくなって、キツネをやっつけるんだい」
子ダヌキ「オイラが大きくなる前に、キツネがいなくなっちゃった。ちょっと、ガッカリだい」
タヌキ「あっ、北斗丸さん。オイラたちは、おかげさまでたのしくくらしているッス」




佐々木「どこに行くでござるか!」
キツネ「ほんものは、はじっこにいるぜ」
キツネ「ほんものの番ごうは、きすうだよ」
キツネ「ほんものより小さい番ごうのキツネのかずは、
ほんものより大きい番ごうのキツネのかずの2・5ばいだよ」
佐々木「どれが本当のつまか、わかったのでござるか?」
わかりましたか?
北斗丸「ごめんなさい。まだ、わかりません」
佐々木「そうでござるか………がんばってくだされ」
北斗丸「はい、わかりました」
佐々木「おお、それでは、本当のつまの前に行ってくだされ」
おくがた「わらわは、1番だそうです」
おくがた「わらわは、2番だそうです」
おくがた「わらわは、3番だそうです」
おくがた「わらわは、4番だそうです」
おくがた「わらわは、5番だそうです」
おくがた「わらわは、6番だそうです」
おくがた「わらわは、7番だそうです」
おくがた「わらわは、8番だそうです」
おくがた「わらわは、9番だそうです」
おくがた「わらわは、10番だそうです」
おくがた「わらわは、11番だそうです」
おくがた「わらわは、12番だそうです」
おくがた「わらわは、13番だそうです」
おくがた「わらわは、14番だそうです」
おくがた「わらわは、15番だそうです」
佐々木「それが本当のつまなのですな?」
いいですか?
北斗丸「やっぱり、もう少しかんがえてみよう」
おくがた「わかってくれて、ありがとう」
北斗丸「いえ、いいんですよ」
阿古耶「ちょっと待って!この人、しっぽがあるよ!?」
おくがた「しまった!ばれちゃあ、しょうがない。みんな、やっちまえ!」
キツネが正体をあらわし、おそってきた!



おくがた「あなた!」
佐々木「おお、ぶじでよかった。このキツネどもめ、はりつけにしてやるでござる」
キツネ「ひい−−−っ!ゆるしてくださ−い」
佐々木「いやでござる!ぜったいに、ゆるさないでござる」
キツネ「ごめんなさ−い、もうイタズラはしません。
ゆるしてくれるなら、四国から出て行きます。
だから、いのちばかりは、お助けくださ−−−い。エ−ン、エ−ン」
北斗丸「なんだか、かわいそうだな」
法輪「出て行くっていっとるんじゃからゆるしてやったら、どうかのう?」
佐々木「えっ、そりゃまあ………あなたたちが、そういうなら」
阿古耶「タヌキさんも、それでいい?」
タヌキ「……そうッスね。四国からいなくなるなら、オイラもいいッス」
キツネ「ありがとうございま−−−す。エ−ン、エ−ン」



北斗丸「まちがいありません、この人が本当のおくさまです!」
佐々木「よし、こっちに来るでござる」
キツネ「うう、まいりました。まさか、見やぶられるなんて……」
佐々木「人間をだまそうなんて、まったくけしからん!はりつけにかけるでござる」
キツネ「そ、そればかりは、おゆるしを!ほんの、じょうだんのつもりだったんです」
佐々木「いやでござる!ぜったいに、ゆるさないでござる」
キツネ「ごめんなさ−い、もうイタズラはしません。
ゆるしてくれるなら、四国から出て行きます。
だから、いのちばかりは、お助けくださ−−−い。エ−ン、エ−ン」
北斗丸「なんだか、かわいそうだな」
法輪「出て行くっていっとるんじゃからゆるしてやったら、どうかのう?」
佐々木「えっ、そりゃまあ………あなたたちが、そういうなら」
阿古耶「タヌキさんも、それでいい?」
タヌキ「……そうッスね。四国からいなくなるなら、オイラもいいッス」
キツネ「ありがとうございま−−−す。エ−ン、エ−ン」
キツネ「おさわがせして、すいませんでした。やくそく通り、四国から出て行きます」


佐々木「ウム。だが、よそへ行っても、もう悪さをするんじゃないぞ」
キツネ「はい、わかってます………あのう、そちらの人間さん」
北斗丸「えっ、オレたちのこと?」
キツネ「はい………かばってくれて、ありがとうございました。
おれいに、キツネとりでの宝ものはすべてさしあげます」
北斗丸「キツネとりで?」
キツネ「はい、南西のとさにある、わたしらの住みかです。
かなりいいものも、たくさんあります。
どうか、好きなだけ持って行ってください………それじゃあ」



阿古耶「行っちゃったね」
頼遠「まあ、あれで少しは、こりたろう」
北斗丸「だと、いいけど……」
佐々木「おせわになりました。せっしゃ、これでしつれいするでござる」
北斗丸「あ、はい。お元気で」
佐々木「これは、わがやにつたわるおまもりでござる。受け取ってくだされ」
『つきみのおまもり』を手に入れた!
佐々木「あなたたちも、元気で旅をつづけてくだされ。それでは」
タヌキ「じゃあ、オイラも帰るッス」
北斗丸「えっ、きみも?」
タヌキ「ええ、かわいいこどもが待ってますからね」
阿古耶「なんだか、さびしいわね」
タヌキ「あなたたちのことは、一生わすれません。
四国にキツネがいなくなるってことは
オイラたちが、ぬれぎぬをきせられることも、なくなるわけだし………本当に、よかったッスよ」
法輪「そんなら、せいぜい人間と仲よくするんじゃぞ」
タヌキ「ええ、もちろん。ときどき、かわいいイタズラくらいはするかもしれませんけどね。
タヌキだから。じゃ、そ−いうことで」

北斗丸「これで、よかったのかなあ?」
阿古耶「う−ん、たぶんね」



佐々木「お元気ですか?
せっしゃたちも、やっと平和なくらしを取りもどしたでござるよ」
おくがた「本当のわらわを見分けられないなんてなさけないおっとですわ」