子ダヌキ「お帰り、おとうちゃん」 おくさんタヌキ「あんた、キツネはやっつけたのかい?」 タヌキ「まだッスよ。でも、きっとやっつけるからね」 おくさんタヌキ「たのむよ。このままじゃ、あたしたちまで、四国にいられなくなっちまうよ」 タヌキ「まかしとけッス」 おくさんタヌキ「人間さん、うちのダンナをよろしくおねがいします」 おくさんタヌキ「この子のためにも、たのみます」 おくさんタヌキ「そのせつは、本当におせわになりました」 子ダヌキ「オイラも早く大きくなって、キツネをやっつけるんだい」 子ダヌキ「オイラが大きくなる前に、キツネがいなくなっちゃった。ちょっと、ガッカリだい」 タヌキ「あっ、北斗丸さん。オイラたちは、おかげさまでたのしくくらしているッス」 佐々木「どこに行くでござるか!」 キツネ「ほんものは、はじっこにいるぜ」 キツネ「ほんものの番ごうは、きすうだよ」 キツネ「ほんものより小さい番ごうのキツネのかずは、 ほんものより大きい番ごうのキツネのかずの2・5ばいだよ」 佐々木「どれが本当のつまか、わかったのでござるか?」 わかりましたか? 北斗丸「ごめんなさい。まだ、わかりません」 佐々木「そうでござるか………がんばってくだされ」 北斗丸「はい、わかりました」 佐々木「おお、それでは、本当のつまの前に行ってくだされ」 おくがた「わらわは、1番だそうです」 おくがた「わらわは、2番だそうです」 おくがた「わらわは、3番だそうです」 おくがた「わらわは、4番だそうです」 おくがた「わらわは、5番だそうです」 おくがた「わらわは、6番だそうです」 おくがた「わらわは、7番だそうです」 おくがた「わらわは、8番だそうです」 おくがた「わらわは、9番だそうです」 おくがた「わらわは、10番だそうです」 おくがた「わらわは、11番だそうです」 おくがた「わらわは、12番だそうです」 おくがた「わらわは、13番だそうです」 おくがた「わらわは、14番だそうです」 おくがた「わらわは、15番だそうです」 佐々木「それが本当のつまなのですな?」 いいですか? 北斗丸「やっぱり、もう少しかんがえてみよう」 おくがた「わかってくれて、ありがとう」 北斗丸「いえ、いいんですよ」 阿古耶「ちょっと待って!この人、しっぽがあるよ!?」 おくがた「しまった!ばれちゃあ、しょうがない。みんな、やっちまえ!」 キツネが正体をあらわし、おそってきた! おくがた「あなた!」 佐々木「おお、ぶじでよかった。このキツネどもめ、はりつけにしてやるでござる」 キツネ「ひい−−−っ!ゆるしてくださ−い」 佐々木「いやでござる!ぜったいに、ゆるさないでござる」 キツネ「ごめんなさ−い、もうイタズラはしません。 ゆるしてくれるなら、四国から出て行きます。 だから、いのちばかりは、お助けくださ−−−い。エ−ン、エ−ン」 北斗丸「なんだか、かわいそうだな」 法輪「出て行くっていっとるんじゃからゆるしてやったら、どうかのう?」 佐々木「えっ、そりゃまあ………あなたたちが、そういうなら」 阿古耶「タヌキさんも、それでいい?」 タヌキ「……そうッスね。四国からいなくなるなら、オイラもいいッス」 キツネ「ありがとうございま−−−す。エ−ン、エ−ン」 北斗丸「まちがいありません、この人が本当のおくさまです!」 佐々木「よし、こっちに来るでござる」 キツネ「うう、まいりました。まさか、見やぶられるなんて……」 佐々木「人間をだまそうなんて、まったくけしからん!はりつけにかけるでござる」 キツネ「そ、そればかりは、おゆるしを!ほんの、じょうだんのつもりだったんです」 佐々木「いやでござる!ぜったいに、ゆるさないでござる」 キツネ「ごめんなさ−い、もうイタズラはしません。 ゆるしてくれるなら、四国から出て行きます。 だから、いのちばかりは、お助けくださ−−−い。エ−ン、エ−ン」 北斗丸「なんだか、かわいそうだな」 法輪「出て行くっていっとるんじゃからゆるしてやったら、どうかのう?」 佐々木「えっ、そりゃまあ………あなたたちが、そういうなら」 阿古耶「タヌキさんも、それでいい?」 タヌキ「……そうッスね。四国からいなくなるなら、オイラもいいッス」 キツネ「ありがとうございま−−−す。エ−ン、エ−ン」 キツネ「おさわがせして、すいませんでした。やくそく通り、四国から出て行きます」 佐々木「ウム。だが、よそへ行っても、もう悪さをするんじゃないぞ」 キツネ「はい、わかってます………あのう、そちらの人間さん」 北斗丸「えっ、オレたちのこと?」 キツネ「はい………かばってくれて、ありがとうございました。 おれいに、キツネとりでの宝ものはすべてさしあげます」 北斗丸「キツネとりで?」 キツネ「はい、南西のとさにある、わたしらの住みかです。 かなりいいものも、たくさんあります。 どうか、好きなだけ持って行ってください………それじゃあ」 阿古耶「行っちゃったね」 頼遠「まあ、あれで少しは、こりたろう」 北斗丸「だと、いいけど……」 佐々木「おせわになりました。せっしゃ、これでしつれいするでござる」 北斗丸「あ、はい。お元気で」 佐々木「これは、わがやにつたわるおまもりでござる。受け取ってくだされ」 『つきみのおまもり』を手に入れた! 佐々木「あなたたちも、元気で旅をつづけてくだされ。それでは」 タヌキ「じゃあ、オイラも帰るッス」 北斗丸「えっ、きみも?」 タヌキ「ええ、かわいいこどもが待ってますからね」 阿古耶「なんだか、さびしいわね」 タヌキ「あなたたちのことは、一生わすれません。 四国にキツネがいなくなるってことは オイラたちが、ぬれぎぬをきせられることも、なくなるわけだし………本当に、よかったッスよ」 法輪「そんなら、せいぜい人間と仲よくするんじゃぞ」 タヌキ「ええ、もちろん。ときどき、かわいいイタズラくらいはするかもしれませんけどね。 タヌキだから。じゃ、そ−いうことで」 北斗丸「これで、よかったのかなあ?」 阿古耶「う−ん、たぶんね」 佐々木「お元気ですか? せっしゃたちも、やっと平和なくらしを取りもどしたでござるよ」 おくがた「本当のわらわを見分けられないなんてなさけないおっとですわ」 |