セリフ 17



阿古耶「やだ、気持ち悪い」
法輪「このあたりでは、むかし平家の人間が、たくさん死んだそうな。
そのぼうれいかもしれんのう」
阿古耶「ウソッ、やだっ!北斗丸、帰ろうよ−−−!」
阿古耶「こんなとこ、やだってば!あんた、いやがらせしてんの!?」
北斗丸「なんだ?あそこに、光が見えるぞ!」
法輪「ウ−ム……あれが、もんだいの光じゃな。
たしかに、よく見ると火の玉とは、ちがうのう」
北斗丸「やっぱり、おじいさんのいう通りあの光は『くさなぎのつるぎ』なんだ」
頼遠「しかし………どうやって、それをたしかめる?」
北斗丸「それは………」
阿古耶「あたしが、もぐってやるよ」
北斗丸「ええっ、でも………」
阿古耶「だいじょうぶ!火の玉じゃないなら、こわくないもん。
あたし、これでもおよぎはとくいなんだよ」
法輪「そんじゃ、たのむかのう」
頼遠「だが、むりはするなよ」
阿古耶「まかせて!」
阿古耶「この光、下の方からのびてるんだ……
ようし、もぐってみ…………キャアッ!?」
阿古耶「キャ−−−ッ!」

北斗丸「阿古耶!?どうしたんだ!」
阿古耶「あ、あし……あしが………ゴボッ」
法輪「たいへんじゃ!おぼれておる」
頼遠「助けに行くぞ!」
北斗丸「だいじょうぶか、阿古耶!」
阿古耶「ダ、ダメ……来ないで、北斗丸!ここには、だれかがいるわ!」
北斗丸「なんだって!?」
ぼうれい「もう、おそい………」
ぼうれい「なにものだ………われらのねむりをさますやつ………」
ぼうれい「おお、見よ………こやつらは、源氏のものではないか………」
ぼうれい「つかまえたぞ………これで、うらみがはらせるのだ………」
法輪「おまえら、平家のぼうれいじゃな!」
ぼうれい「そうだ………そいつら源氏に殺され、だんのうらにしずんだのだ………」
頼遠「それは、さかうらみだ!
オレはともかく、北斗丸は、まだ生まれてもいなかったんだぞ!
阿古耶たちにだって、かんけいない!」
ぼうれい「そんなことは、かんけいない………
源氏の仲間はすべて、われらの敵だ………」
北斗丸「う、うわ−−−!」



アメノミカゲ「ウワ−ッハハハ!まんまと、引っかかりおって」
火鷹「てめえは、アメノミカゲ!」
アメノミカゲ「そうだとも。せっかく会えたのに、またお別れだな。
『天下五剣』の力でめざめたぼうれいたちに、あの世に連れて行ってもらうがいい!」
頼遠「また、だましたんだな!!」
アメノミカゲ「だまされるおまえらが、バカなのだ。
たくさんの仲間のうらみ、今こそ思い知れ!」
北斗丸「ど……どうして、そこまで源氏をにくむんだ?」
アメノミカゲ「源氏が、われらをねらう鬼追うものだからだ
だが、くわしいことを話す時間はなさそうだな。さよならだ、しょくん」
ぼうれい「さあ、行こう………あの世へ………」
北斗丸「うわあ−−−っ!!」
アメノミカゲ「……これでいい。
鬼追うものさえいなくなれば、われわれ妖怪は平和にくらせるのだ………」



北斗丸「……う、う−ん」
北斗丸「みんな!だいじょうぶか?」
阿古耶「こ……ここはどこなの?」
頼遠「たしかオレたちは、ぼうれいどもに海に引きずりこまれたはずだが………」
法輪「ここは………黄泉の国じゃ。
わしらは、どうやら死んじまったようじゃのう」
火鷹「なんだと?たしかなのか!?」
法輪「坊主がいうんじゃぞ。信じんかい」
阿古耶「……ってことは、あたしたち死んじゃったの!?」
北斗丸「とにかく、このあたりをあるいてみよう」
頼遠「そうだな。わけを話して頼めば、元の世界にもどしてくれるかもしれん」



阿古耶「うん……あっ!?みんなが、いなくなってる!?」
北斗丸「本当だ。どこかべつのばしょにとばされたのかなぁ?」
法輪「いっしょに旅してきた仲間じゃ。ぶじでいると、いいのじゃが……」
つれていた、すべての仲間がはずれた!