阿古耶「あっ!だれかが、妖怪におそわれてる!」 法輪「封印をとこうとしているヤツじゃな……… それにしても、なんか見覚えがあるような………」 北斗丸「火鷹だ!戦っているのは、火鷹だよ!」 頼遠「なに、火鷹だって!?」 阿古耶「知りあいなの?」 法輪「いっしょに戦ったことがある、仲間なんじゃ!」 火鷹「チィッ!まだまだ!」 北斗丸「火鷹!!」 火鷹「北斗丸!?なぜ、ここに!?」 法輪「それは、こっちのセリフじゃわい。だいぶ、苦戦しとるようじゃないか」 火鷹「まあな」 北斗丸「あいつは、泉を守っているんだな。 話はあとだ、オレたちもかせいするよ!」 火鷹「ありがたい。たのむぜ!」 火鷹が、ふたたび仲間になった! 北斗丸「いくぞ!」 火鷹「助かったぜ。これで、泉の水がくめる」 北斗丸「火鷹も、あの泉の水が目当てだったのか?」 法輪「ははあ、タタラの村の長老がいっていた、 目つきのこわい男ってのは、火鷹のことだったのかい。なるほどのう」 火鷹「なにが、なるほどだって」 法輪「あ、いや、べつに……ハハハ」 頼遠「ところで、火鷹。おまえはどうして、泉の水をほしがるんだ?」 火鷹「タタラ神社の、封印をとくためだ」 阿古耶「じゃあ、あんたも『三種の神器』を探してんの?」 火鷹「なんのことだ?オレが探してるのは『天下五剣』だ」 北斗丸「えっ、でもタタラ神社にあるのは『くさなぎのつるぎ』のはずなんだけど……」 火鷹「いや、『天下五剣』のうちの一本だ。まちがいない」 阿古耶「みょうだねえ……」 法輪「まあ、いっしょに行ってみりゃあわかるわい」 頼遠「そうだな。水をくんで、もどろうか……火鷹、今度はにげるなよ」 火鷹「にげやしねえよ」 泉の水をくんだ! 北斗丸「さあ、帰ろう」 阿古耶「それにしても、きれいな水だね。のめそうだよ」 泉の水をのみますか? みんなは、元気になった! あやめ「このじんじゃを、かいほうしてくださってありがとう。 わたしは、みなさんの体力を、ぜんかいふくさせることが、できますわ。 つれていってください」 仲間にしますか? あやめ「わたしは、やくだつとおもうのですが……ざんねんです」 あやめ「かいふくはまかせてください!」 あやめが仲間になった! あやめ「ちょっと、お仲間がおおいようです。それではついていけません」 猪月「待てっ!」 北斗丸「あっ、あなたは猪月さん!」 猪月「今度こそ、負けないぞ!さあ、『天下五剣』をわたせ」 火鷹「しつこいヤツだな。いっとくが、オレは自分の刀を見つけたぜ」 猪月「なんだと!?おそかったか………しかし、それならば、なおのこと負けられぬ。 今日という今日は、おまえらを倒してやる!」 猪月が、おそってきた! 猪月「クッ……わたしは、あきらめないからな」 火鷹「いいかげんにしやがれ、アニキ! オレたちには、そんな意地っぱりにつきあってるヒマは、ねえんだよ!」 北斗丸「ア、アニキ!?猪月さんが火鷹のアニキだって!?」 猪月「そ、そうはいくか………このままでは、なっとくがいかぬ。 こどものころから、一度も弟のおまえに勝てぬとあっては、兄としてめんぼくが立たぬのだ」 法輪「それで、しつこく『天下五剣』をほしがっていたのじゃな」 猪月「おまえは、わが家に伝わるはずの『天下五剣』を探すといって、家を出た。 それならば、わたしが『天下五剣』を先に手に入れてやる………と思ったのだ。 弟よりすぐれていなければ、兄として家をつぐことは、できんからな」 頼遠「そうだったのか……」 火鷹「バカやろうだな、ったく」 猪月「なんだと!」 火鷹「オレが『天下五剣』を探していたのは強くなりたいからだ。 家をつぐだの、なんだのは、オレにはかんけいねえ。 頼まれたって、まっぴらだ。わかったら、さっさと家に帰れよ」 法輪「火鷹、そんないい方しなくてもいいじゃろ」 火鷹「どうしても気になるってんなら、オレは死んだと思え。 どうせ、二度と家には帰らねえつもりなんだ」 北斗丸「火鷹………」 猪月「本気なのか?」 火鷹「ああ」 猪月「………それでは、一人で思いつめていたわたしは、なんなのだ? 一族のものに、わたしこそが家をつぐにふさわしいと、 みとめさせようとしてきたわたしは………」 火鷹「ただのバカだ」 猪月「………だが、わたしはいっしょうけんめいだったのだ。 こどものころから、家をつぐことをぎむづけられ……… 弟よりも、すぐれていることをもとめられてきた……… このわたしの苦しみが、おまえにわかるか!?」 火鷹「だから、バカだっていうんだ。人がなんていおうと、かんけいねえじゃねえか。 アニキは、自分で家をつごうって決めたんだろ? だったら、自分のためにがんばればいいだけのことだ」 法輪「いい方はらんぼうだが、もっともじゃな」 猪月「………なんて、人の気にさわるヤツなんだ………… だが、今度ばかりはいい返せないな………火鷹、すまん。 わたしは、おまえをごかいしていたようだ。ゆるしてくれ」 火鷹「急にしおらしくなるな、バカ。わかりゃあ、いいんだよ」 猪月「みなさん、めいわくをかけてすみませんでした。 わたしは、家に帰ります。もう二度と、会うこともないでしょう」 頼遠「猪月さん、これからたいへんでしょうが、がんばってください」 北斗丸「お元気で」 猪月「あなた方も。それでは、ごめん」 |