頼遠「うっ、酒くさい!」 法輪「なんじゃ、おまえさんたち。このボロ寺に、なにか用かね」 北斗丸「いえ、ごめんなさい。そういうわけでは……」 法輪「そうじゃろうな。今さら、この法輪に用のあるものなどいるわけもない。 それより、ちょうどよい。ひとつ、たのまれてくれんかね?」 頼遠「坊さん、オレたちは先を急ぐんだ。悪いけど……」 法輪「もう日がくれるぞ。夜みちはあぶない、とまってゆけ。 そのかわりに、おねがいじゃ。酒が切れちまってのう。 となりの酒屋でかって来てほしいんじゃ」 北斗丸「酒を、ですか?それくらいなら……」 頼遠「とんでもないナマグサ坊主だな」 法輪「坊主にやさしくすると、ごくらくに行けるぞい。あ、金はツケでな。 法輪っていえば、わかるから」 北斗丸「じゃあ、行って来ます」 法輪「なんじゃ、まだなのか?早くしてくれ。よいがさめちまうわい」 法輪「もう、わしにかまわないでくれ!」 北斗丸「うめちゃんは、この原っぱに遊びに来たんだっけ。もう少し、ここをしらべてみよう」 おばあさん「はいはい、どちらさん……えっ、まいご?わしは知らんねえ。 それより、ひさしぶりのお客だから、うれしくてねえ。今日は、とまっていきなよ」 とめてもらいますか? おばあさん「そうかい…さびしいのう。気がむいたら、またおいで」 北斗丸「……じゃあ、とめてもらえますか?」 おばあさん「ああ、いいとも。さあ、おいで」 おばあさん「じゃあ、ごはんのしたくをしてくるからね。この部屋から出ちゃ、いけないよ」 北斗丸「どう思う?」 頼遠「大体、こんな原っぱに家があるってことが、あやしい。しらべてみよう」 火のたまは妖怪にすがたをかえた!! ふどう「これは、おどろいた。こんなところまで来る人間がいるとはな。なんの用だ?」 北斗丸「オレたちは、みんなが平和にくらせるよのなかをつくるために、戦っているものです」 頼遠「火の力を、お持ちのようですね。どうか、お力をかしてください」 ふどう「ふ−む………よかろう。そなたたちは、正しき力の使いみちを知っておるようだ」 頼遠は『ふどう』をおろせるようになった!! ぞうりん「おいら、『ばけぞうり』のぞうりん。 おいらがいると、あるくそくどがはやくなるよ−ん! でも、じょうけんが一つあるんだ。 『ひきゃくのくつ』を、持って来てくれないと、力がはっきできないんだ!」 仲間にしますか? ぞうりん「まあ、いいんだけどね。いそがば、まわれっていうしね。しくしく…………」 ぞうりん「いやっほ−!はしるときは、LかRぼたんを、おしながらうごいてね!」 ぞうりんが仲間になった! ぞうりん「え−ん!仲間がいっぱいで、いっしょに行けないよ−!!」 ぞうりん「『ひきゃくのくつ』を、もってきてよ−! でないと、ちからがはっきできないんだよ−−−!」 金500を手に入れた からっぽです! 頼遠「うめちゃんは、きっとこの中だ。早く、助けてやろう」 北斗丸「あっ!なべができてる」 みんなは、元気になった! 北斗丸「うめちゃん、ぶじかい!?」 うめ「あっ、お兄ちゃんたち!」 鬼ババ「見たな!おぬしら、なにものじゃい!」 北斗丸「おまえを、やっつけるために来たんだ!かくごしろ!」 鬼ババ「フォッホホホ、わしをやっつけるじゃと? こわっぱめらが、なまいきな。頭から食らってくれるわ!!」 北斗丸「どうやって、開けるんだ?」 うめ「ひだりがわに、しかけがあるわ」 北斗丸「わかった、ちょっと待ってて」 うめ「ありがとう、お兄ちゃん!法輪さんはどこ?」 北斗丸「えっ」う め「法輪さんも、あたいを助けに来てくれたんでしょ?法輪さんはどこ?」 北斗丸「そ、それは……」 鬼ババ「わ、わしは負けぬ!その子の生きギモを食えば、また戦えるわい!」 頼遠「あぶない!」 うめ「きゃあああっ!!」 法輪「うめ−−−−−っ!!」 鬼ババ「ゴ……ゴフッ………チクショウ、もっと人が食いたかったよう………」 うめ「法輪さん!」 法輪「う、うめ………」 うめ「法輪さん、ごめんなさい。法輪さんが遊んでくれないから、ひとりで遊ぼうと思ったの。 でも、あたい信じてたよ。きっと助けに来てくれるって!」 法輪「うめ……おまえ、こんなわしを信じてくれたのかい。じゃが、わしは……」 頼遠「もう、いいじゃないか。あんたは、うめを助けたんだぜ」 北斗丸「そうだよ、法輪さん。オレ、なまいきなことをいってごめんなさい」 法輪「いや、おまえさんがいってくれなけりゃ、ゆうきが出なかったろうよ」 頼遠「さあ、帰ろうぜ。その子の父親も、心配してるだろう」 北斗丸「うん!」 うめ「おとっつぁん!」 しそべえ「うめ!ああ、よかった。 ありがとうございます、みなさん。ありがとう、法輪さん」 法輪「い、いや………そんな、れいをいわれるようなことはしちゃおらんよ」 うめ「そんなことない!ありがとう、法輪さん」 法輪「うめ………」 頼遠「どうしたんだ?元気がないな」 法輪「………こんなに、れいをいわれるのははじめてじゃ ………わしでも、人の役に立つんじゃな」 北斗丸「法輪さん?」 法輪「わしは、いくじなしじゃ。 あの、いまわしい源氏と平家のいくさのとき、 わしはほとけにつかえる身でありながら、 だれも助けることができなかった……… だから、今までわしは、自分がダメ人間だと思っておったのじゃ」 頼遠「じゃあ、源氏をきらっていたのも?」 法輪「うん、むかしを思い出すたびに、だらしなかった自分も思い出すからのう。 はんぶん、やつ当たりみたいなもんじゃ………すまんかった」 北斗丸「いいんですよ、もう。それに、法輪さんは、うめちゃんを助けたじゃないですか。 ダメ人間なんかじゃ、ありませんよ」 法輪「お、おだててもダメじゃ!自分のことは、自分が一番よくわかる。 ただ、わしをしたってくれとるうめの顔を思い出したら………行かねばならんと思ったんじゃ」 頼遠「おだててなんかいないさ。あんた、本当にゆうきがあったよ」 法輪「………ありがとうよ。 でも、もっと早くゆうきが出れば、いくさのときにも、人をすくってやれたのにのう………」 北斗丸「今からでも、おそくありませんよ。 この国には、鬼ババみたいな妖怪に苦しめられてる人が、たくさんいます。 法輪さん、オレたちの妖怪退治を、てつだってくれませんか?」 頼遠「そうだな。つらい旅だけど、あんたが来てくれれば、助かるよ」 法輪「おまえさんたち……こんなわしを、たよってくれるのじゃな」 北斗丸「来てくれますか?」 法輪「お、おう!これでことわっちゃ男がすたるわい!」 うめ「法輪さん、行っちゃうの?」 法輪「うめ……すまんが、しばらくは遊んでやれん。 じゃが、みやげをい−−−っぱい持って帰るからな。待っとってくれ」 うめ「ううん、おみやげなんていいから早く帰って来てね。あたい、待ってる」 法輪「おお、うめはいい子じゃな」 しそべえ「法輪さん」法 輪「あっ……え−と、あの、ツケのことなんじゃけど………」 しそべえ「なんたって、うめの恩人の法輪さんだ。 なしにする………とはいいませんが、お帰りになるまで、待ってますよ」 法輪「そ、そうか、すまんな………別に、なしにしてくれてもよかったんじゃけどな。 でもこれで、ひとあんしんじゃ。では、行くぞ北斗丸!おくれるな、頼遠!」 頼遠「ずいぶん、はりきってるな……」 法輪が、仲間になった! ふしぎな光をあびて元気になった! |