頼遠「どうしても行くのか?」 北斗丸「うん。くらま山は、むかし弁慶さんといっしょに、とうさんがくらしていたところなんだって。 だから、オレもそこへ行って、しゅぎょうをしたいんだ」 頼遠「そうか………」 頼遠「法輪は、村へ帰るんだろう?」 法輪「ああ、うめが待ってるじゃろうからな」 阿古耶「あたしも、京へ帰るよ。まさたちのことが、心配だからさ」 北斗丸「火鷹は?」 火鷹「オレは、また旅に出る。もっと、強くなるためにな」 阿古耶「頼遠は、鎌倉にのこるの?」 頼遠「ああ、のこる。そして、この鎌倉を平和な町にするよう、がんばるつもりだ」 阿古耶「そっか。みんな、バラバラになっちゃうんだね…………」 法輪「な−に、また会えるさ。そのときまでに、ちっとは女らしくなっとれよ」 阿古耶「なにいってんのさ。法輪さんこそ、もうトシなんだからお酒はひかえなよ!」 法輪「バカもん。わしは、まだわかいぞ!」 北斗丸「うめちゃんに、よろしく」 法輪「おお、つたえておくぞい」 頼遠「火鷹……………オレは、おまえを好きじゃない。 けど、おまえの生き方には、あこがれるよ………元気でな」 火鷹「そのセリフ、そっくり返すぜ。 まあ、おまえはマジメだけがとりえだから、鎌倉も平和になるだろうよ」 弁慶「では……そろそろ、まいりましょうか」 北斗丸「うん、わかりました」 北斗丸「………じゃあ、みんな元気で」 頼遠「北斗丸もな」 法輪「またいつか、会おうぞ」 阿古耶「うん、ゼッタイだよ!」 火鷹「ああ、じゃあな」 頼遠「しょるいは、たしかに受け取った。ごくろうだったな」 さむらい「はい」 姫「頼遠お兄さま、おしごとまだ、おわらないの?」 政子「これ、姫。頼遠どのをこまらせてはいけませんよ」 姫「だって、また旅のお話を聞きたいんですもの」 姫「いいでしょ、お兄さま」 頼遠「ああ、いいよ」 姫「北斗丸たちは、元気でしょうか。わたし、もう一度あの人たちに、おれいをいいたかったわ………」 頼遠「あいつらなら、どこへ行っても元気でやっているさ」 姫「そうね………また、会えるかしら」 頼遠「ああ、きっとな……」 |