頼朝「ム……だれかと思えば、おまえたちか。 わしのけらいどもが、おまえたちを敵とまちがえたらしい。 すまなかった………さあ、ここへ来てすわれ」 頼朝「ところで、『やたのかがみ』と『くさなぎのつるぎ』は手に入れたのか?」 頼遠「………はい」 頼朝「そうか、でかした。どれ、見せてみよ」 頼遠「はい」 頼朝「おお!これぞ、まさしく『三種の神器』だ………」 法輪「な、なんじゃ!?」 北斗丸「『やたのかがみ』と、『くさなぎのつるぎ』が光ってる!」 阿古耶「あそこの、つづらもだよっ!」 火鷹「見ろ!」 法輪「こ、これは……『やさかにのまがたま』じゃ!」 頼朝「し……しまった!」 頼遠「『やさかにのまがたま』は、義経が持っているのでは、なかったのですか!?」 頼朝「うう……」 北斗丸「ウソをついたんだな!!」 頼朝「うるさい!それをよこせ!」 北斗丸「あっ!」 火鷹「てめえ、それをどうする気だ!」 頼朝「決まっているだろう!『三種の神器』の力をりようして、妖怪どもをみな殺しにするのだ」 頼遠「や、やっぱり………」 頼朝「わかったら、おまえたちもてつだえ。妖怪は、まだ、たくさんいるのだからな」 法輪「いい妖怪まで殺そうというのじゃろ!そんなこと、てつだえるかい!」 頼朝「この世の中に、妖怪はいらぬ。このわしと、わしのけらいたちがいればいいのだ。 鬼追うものの血にかけて、この国に妖怪が住むことはゆるさぬ!」 阿古耶「この人、変よ………まともじゃない」 頼朝「さあ、わしとともに妖怪をやっつけるのだ!」 北斗丸「ことわる。そんなことに、手をかすつもりはない!」 頼朝「なんだと!?このわしに、さからおうというのか……… このうらぎりものめ!やっぱり頼遠がひろってきたとき、殺しておけばよかったわ!」 北斗丸「なんだって!?」 頼朝「義経のこどもだということは、わかっていたのだ。 なにかの役に立つと思い、力を封じて生かしておいてやったのに………その恩を、アダで返しおって!」 頼遠「ち……父上、なんてことを!あなたは、まちがっています」 頼朝「なんだと?頼遠、おまえまでがたぶらかされおって………」 頼遠「父上、オレは見たんです……… 黄泉の国の義仲どのや、義経どのが転身するのを………そして、このオレも。 父上!源氏の人間は、妖怪の血を受けついでいるのではないですか? だから、みんな転身できるんじゃないのですか!?」 頼朝「なにをいうか!鬼追うものの源氏に、そんなけがれた血が、ながれているはずないだろう。 いいかげんなことをいうと、ゆるさんぞ!」 頼遠「本当です、父上!だから、目をさましてください…… 妖怪と、仲よくやってゆきましょう」 頼朝「目をさませだと?だれに、いっているのだ!この恩知らず!源氏のツラよごしめ!!」 頼遠「うっ!」 北斗丸「頼遠−−−!!」 頼遠「だ……だいじょうぶだ………きずは、あさい………」 法輪「きさま、それでも親か!」 頼朝「わしのいうことを、聞かぬむすこなどいらぬ。 ましてや、妖怪などにたぶらかされる、おろかものなど…… こうなったら、この手で殺してやることこそ、親のつとめだ」 阿古耶「ふざけないでよ!親の勝手ですてられたり、殺されたり……… こどもだって、生きるけんりがあるんだ!」 北斗丸「そうだとも。頼朝!おまえだけはゆるせない!」 頼朝「なにを、なまいきな!」 頼遠「父上………いや、頼朝さま………まだ、わからないのですか? このままでは………オレは、あなたを切らなきゃならない……」 頼朝「だまれ、うらぎりものども!わしにそんな口をきいたこと、こうかいさせてやる!!」 頼遠「よ、頼朝ォ−−−−!!」 頼朝が、おそってきた! 頼朝「ぐ……お……ば、ばかな……」 頼遠「父上……」 頼朝「し……死ねぬ……このままでは、死ねぬぞ−−−!!」 北斗丸「て、転身!?」 頼遠「父上!?」 頼朝「ほこりたかき源氏のちにかけて、きさまらを、たおす!!」 頼朝が、転身しておそってきた! 頼朝「も……もう少しで、妖怪のいない国になったものを……む、むねんだ……」 北斗丸「おわった………」 阿古耶「頼遠、だいじょうぶ?」 頼遠「ああ……やっと、おわったな………」 景時「きさまら、なんてことを!!」 頼遠「あ、あなたは………父上の部下の、景時さん!」 景時「きさまら、よくも……よくも………」 北斗丸「ま、待って下さい。頼朝は、この国をメチャクチャにしようとしたんです。 だから、オレたちは頼朝をやっつけたんです」 阿古耶「ウソじゃないわよ」 景時「そんなことは、どうでもいいのだ!よくも、頼朝を殺したな」 法輪「な、なんじゃと!?」 景時「頼朝の部下のふりをして、長い間待っていたのに……これで、すべてが水のあわだ!」 火鷹「どういうことだ!?」 景時「頼朝は、わしのあやつり人形だったのじゃ。 鬼追うものといわれる源氏ももとをただせば、妖怪と同じ血がながれている。 しかし、それを知らない頼朝は、わしのいうとおりに妖怪を殺したのだ…… ジャマをしようとする義経を、平泉の近くのやしきで殺そうとしたのも、わしさ」 頼遠「父上は、おまえのせいで、あんな人になってしまったんだな!」 北斗丸「とうさんをおそったのは、おまえだったのか!おまえは、なにものなんだ!」 景時「教えてやろう。今のかっこうはかりのすがた。わしこそは、源氏の守り神じゃ!!」 アビヒコ「この国を、とおときわれらのものにするべきなのじゃ。 これこそが、源氏の守り神であるわしのしめい! それなのに、ジャマをしおって……そのつみ、死にあたいする!!」 魔神アビヒコが、おそってきた! 頼遠「北斗丸………」 北斗丸「……これで、父さんたちのかたきがとれたね………頼遠」 頼遠「ああ、そうだな……」 阿古耶「北斗丸、頼遠………」 北斗丸「これでおわりだろう………今度こそ、本当に」 阿古耶「きゃあっ!な、なに!?」 火鷹「これは………あぶねえ、ここはくずれるぞ!」 北斗丸「みんな、いそいでここを出るんだ!」 |