君がいれば喜びは倍に、くやしさも倍に。『キャプテン翼』はそんなゲームだ。
今までのスポーツゲームは、すべてアクションだった。
一瞬のミスで負けてしまう。ヤだ! 私は知性でスポーツをしたい。
横にいる人は、ただ見ているだけ。ヤだ!
皆で仲よく味方になりたい。アニメの迫力もほしい。
でも、スピード感がなきゃヤだ! キャラにもっと個性がほしい! ドラマがほしい!
無理が通って、『翼』が生まれた。
「パスは誰に渡そうか。翼に渡してドライブシュートか?
いや、一旦政夫に渡して和夫にパス、スカイラブシュートの方が?
ええい、強引にドリブルだ。よし、敵をはねとばした。進め、進めー!
だめだ、4人に囲まれてしまった。今度こそ翼にパス。うーん、パスが低い。
あ、敵が来た。ボールが敵の体に当たった。勢いが弱まった。
うーん、どうだぁー。よし! 翼がボールに合わせた。オーバーヘッドキックー!
入ったぁー! 敵のゴールにボールが突きささったぁー!」
気がついたら、握りしめたコブシに汗がにじんでいる。迫力のアニメ。スピード感。賭け。
熱くなる要素がフンダンに盛りこまれている。
スポーツをRPGにしたおかげで、見ている者もいっしょになって、選手にも、監督にも、観客にもなれる。
そこには新しい興奮がある。
パーソナル(個人の)ではなく、
ファミリー(みんな)のコンピュータ(楽しさ)が味わえる。
惜しいところも少しはある。敵の攻撃の最中は何もできないとか、岬くん捜しが少し中途半端だとか、
しかしそんなことを吹きとばすだけの価値がある。
TVゲームに、また新しい可能性が生まれた。そんな希望を与えてくれた一品です。
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